第571章 再会したときには既に世の中が変わっていた（一）

「いいわ、約束するわ」

「子供を産んだ女性と結婚するなんて、おばあさんの反対を恐れないのか？」

「僕のおばあさんと祖父は再婚だったんだ。おばあさんが房原家に嫁ぐ前にも子供がいたんだよ。それに、おばあさんは君のことが気に入っているから、彼女のことは心配しなくていい」

房原おばあさんが再婚？

これは林薫織にとって少し意外だった。結局、房原家は名家であり、一般的に大家族はこのような状況を受け入れるのが難しいものだ。

男は少し黙った後、「それに、僕の結婚は自分で決められる」と言った。

もしこのようなことさえ自分で決められないなら、どうやって房原家の当主になれるだろうか。

「でも、おばあさんが反対しなくても、これはあなたにとって公平じゃないわ。房原城治、損だと思わない？」

「お互いに必要なものを得るだけだ。公平か不公平かという問題ではない。君は僕を利用して氷川泉から逃れたいし、僕は妻が必要だ。誰も損はしない」

「そうであれば、これ以上のことはないわ」

林薫織の安堵の表情に、男の瞳が鋭く光った。

「用事があるから、ゆっくり休んでくれ」

そう言うと、男は彼女に構わず、振り返ることもなくドアに向かって歩いていった。

房原城治が去った後、林薫織はようやく自分がさっきした行動がどれほど無謀だったかを悟った。

しかし考え直してみれば、誰と結婚しても結婚は結婚だ。もし一生自分の愛する人と一緒になれないのなら、誰と結婚しても同じではないか。

それに、以前房原城治のために三つのことをすると約束したのだから、彼女が望まなくても、その約束を果たさなければならない。

林薫織は清潔な服に着替えて階下に降りると、房原城治がリビングのソファで新聞を読んでいるのが見えた。

林薫織が玄関に向かうのを見て、男は手の新聞を置き、顔を上げて彼女を見た。「どこに行くつもりだ？」

「ここに何日も滞在したから、そろそろ帰らないと」

林薫織の言葉が終わらないうちに、男は彼女の前に来て、上から彼女を見下ろした。「僕と結婚することに決めたなら、当然ここに住むべきだ」

林薫織はもちろんその道理を知っていたので、もう気取ることもなく、「それでも一度出かけなければならないわ。すぐに戻ってくるから」

「外は雨が降っている。また今度にしたら？」