林薫織はもう一度薫理の幼稚園に行った。今回は放課後前に到着し、直接薫理の幼稚園の先生を探した。
「こんにちは、どなたをお探しですか?」
「氷川薫理の母親です。急用で薫理に会いに来ました。」
「あなたが氷川薫理のお母さん?私の知る限り、氷川薫理にはお母さんがいないはずですが。」
「私は確かに彼女の母親です。ただ、ここ数年彼女のそばにいなかっただけです。信じられないなら、これを見てください」林薫織はスマホを取り出し、アルバムを開いて、薫理との写真を見せた。
先生はその写真をちらりと見て、お金持ちの家庭は大抵家族関係が複雑だと思いながら、半信半疑で少し躊躇した後、「わかりました、あなたが彼女の母親だと信じましょう。でも、母親なのに知らないのですか?薫理は今日学校を休んでいます。」
「学校に来ていないんですか?」
「はい、病気らしいです。家政婦さんが朝早くに休みの連絡をしてきました。」
病気?
林薫織は前回校門で薫理に会った時のことを思い出した。彼女はマスクをしていた。おそらくその時すでに風邪をひいていたのだろう。
彼女はあまりにも不注意だった。当時は氷川泉と養育権について議論することに夢中で、薫理の体調に気を配らなかった。
彼女は薫理の病状が深刻かどうか知りたかったが、氷川泉との関わりは避けたかった。そこで電話をかけて薫理の状態を尋ねた。
「お嬢様は...ただの風邪です。大したことはありませんので、林さんはご心配なく。」
これを聞いて、林薫織はかなり安心したが、なぜか暁美さんの口調が少し変だと感じた。言葉も歯切れが悪かった。
彼女はまだ不安で、少し躊躇した後、ゆっくりと口を開いた。「彼女に会いに行きたいのですが、よろしいでしょうか?」
暁美さんは非常に洞察力のある人だった。林薫織が直接的な言い方をしなかったにもかかわらず、彼女の意図を理解した。
林薫織がこのように尋ねたのは、ご主人に会いたくなく、不必要なトラブルを避けたいからだった。
「林さん、ご主人は午後会社で重要な会議があり、午後中ずっと不在です。午後にいらっしゃればいいでしょう。」
「わかりました、午後に伺います。」
「あと、林さん、私たちは今家にいなくて、セイント病院にいます。到着したらセイント病院のVIP3病室に直接来てください。」