第654章 彼女は巻き添え体質

実は、高橋詩織が小区の門を出た時、藤原輝矢はちょうど小区の中へ歩いていた。

二人がすれ違った瞬間、お互いに相手を見たが、二人とも自動的に相手を無視した。結局、彼らはお互いに相手を気に入らず、わざわざ自分に不運を招く必要はなかった。

高橋詩織を無視したいと思っていたが、彼女が持っていたキャリーケースが彼の注意を引いた。彼女はどこへ行くのだろう?出張?旅行?それともアメリカに帰るのか?

藤原輝矢の視線は高橋詩織に釘付けになり、彼女がタクシーに乗るまで見ていた。タクシーはすぐに発車し、その瞬間、道路脇に停車していた黒いSUVも同時に動き出し、後を追った。

藤原輝矢は眉をひそめ、心に奇妙な感覚が走った。なぜか、彼はあの黒いSUVに何か問題があるように感じた。

彼が足を動かし、調べようとした瞬間、突然の携帯の着信音が彼の思考を中断させた。彼は心を落ち着かせ、自嘲気味に口元を歪めた。きっと考えすぎだろう。白昼堂々と、何が起こるというのか。それに、あの女はいつも強気で強い性格だから、何か損をするとは思えない。