第590章 24孝の婚約者？

小島風真は房原城治のやり方を全く理解できなかった。「房原様、あなたの婚約者はあまりにも思いやりがありすぎるんじゃないですか？まるで模範的な孝行息子みたいで。本当に他人の子供を育てるつもりなんですか！」

「何もしないで、ただ子供を手に入れるのは悪くないだろう？」房原城治は眉を上げて言った。

「あなたは気楽に考えているようですが、私にはできません。子供を育てるなら自分で産みたいです。」

「自分で産む？」男は眉をしかめ、すぐに口元を緩めた。「それも悪くない考えだな。」

⋯⋯

林薫織が荷物の整理を終えた後、最初の目的地として、薫理を遊園地に連れて行った。

日曜日、遊園地は大賑わいだった。賑やかな場所が好きなのは子供の本能で、行き交う人々を見て、薫理はとても喜んでいた。

「ママ、メリーゴーランドに乗りたい。」

「いいわよ、ママが連れて行ってあげる。」

大きな手が小さな手を握り、林薫織は薫理をメリーゴーランドの方へ連れて行った。

薫理はまだ小さく、落ちることを心配して、林薫織は彼女を抱きかかえ、一緒に一つのメリーゴーランドに座った。

音楽が鳴り始め、メリーゴーランドが回り始めると、薫理は嬉しそうにくすくす笑い、目が三日月のような形になった。

彼女は顔を向け、頭を傾げて後ろの林薫織を見た。「すごく楽しいね、ママ。これからもよくメリーゴーランドに乗りたい。」

「いいわよ、いいわよ、あなたの言う通りにするわ。」

「本当に嬉しい！ママ、大好き！」そう言って、薫理は林薫織の頬にぺちゃんと一回キスをした。

林薫織は小さな子を連れて遊園地を一周し、夜に家に帰る頃には、薫理はチャイルドシートに触れるとすぐに眠ってしまった。

バックミラーを通して、林薫織はチャイルドシートの薫理を見つめ、思わず口角が緩んだ。

小さな子はきっと疲れ果てたのだろう。考えてみれば、昼間は遊園地内をあちこち歩き回り、かなりの距離を歩いたに違いない。

車が車庫に入るとき、林薫織は後ろにロータススポーツカーが追随していることに気づいた。

バックミラーを通して、林薫織はスポーツカーの持ち主を見て、心臓が跳ねた。

偶然なのか因縁なのか、最近彼女と藤原輝矢はしょっちゅう顔を合わせていた。