第11章:空の暴政の下のヴァルモラ

その夜、ヴァルモラは真っ暗だった。まるで希望の光がすべて、街の廃墟から立ち上る煙と灰に飲み込まれたかのように。冷たい風が吹き、火と死の匂いを運び、ひび割れ苔むした建物の隙間に染み込んでいく。かつては笑い声と喧騒で賑わっていた通りは静寂に包まれ、兵士たちの足音と、恐怖に震える市民のかすかな息遣いだけが響いていた。

ダニエルは壊れた門の影に身を潜め、眼前の陰鬱な光景を見渡していた。彼と少数の「クリムゾンフォージ」の部隊は、ヴァルモラの中心部へと潜入したばかりだった。かつて文明の中心地だったこの街は、今やアドリアス王の支配下で地獄のような場所となっていた。かつて民の守護者として崇められていた王は、今や狡猾な闇の支配者ヴァルガンと狡猾な魔女ネレクシの二つの闇の力に操られる傀儡となっていた。

しかし、ダニエルは、その弱々しく見える王の背後に、ただの暴政以上のものがあることを知っていた。もっと危険な何かが隠れていたのだ。今できることは、警戒の眼差しで見守ることだけだった。

かつて栄光の象徴だった門の前では、完全武装の警備兵が休むことなく巡回していた。彼らの兜には「アッシュン・タング」の紋章が刻まれている—残酷さと裏切りで知られる影の組織だ。ぼろぼろのローブを纏い、小さな木箱を握り締めた老人が、兵士たちに連行されていた。彼の顔は傷と恐怖に満ちている。

「これは裏切り者だ!」隊長が厳しい声で叫んだ。「王の権力についての偽りの噂を広めたのだ!」

すぐに兵士たちは老人を広場へ引きずり出した。そこには火焔に照らされた処刑台が厳然と立っている。残された民—男も女も子供も—は目を赤くし、悲しみの心を抱えながら見守らされていた。

ダニエルはうつむいた。「これはもはや政府ではない。無慈悲な残虐行為だ」と呟き、胸の中で怒りの炎が燃え上がった。

広場の片隅で、若い母親が小さな娘を強く抱きしめていた。老人が処刑台に縛られると、彼女の涙は止まることなく流れ続けた。刃が一閃し、無念の命が絶たれ、暴政に立ち向かった勇気ある声が一つ消えた。

ダニエルは仲間のエララの手を握った。彼女もまた「クリムゾンフォージ」の一員だ。「急がねば。これは同盟を探すだけの話ではない。まだ救える者を救うためだ。」

エララはうなずき、決意の光を瞳に宿した。「この王にはもはや慈悲はない。でも、この街で正義を信じる者を見つけねば。」

彼らは瓦礫と生活の痕跡が散らばる狭い路地を進んだ。街のすべての角が苦しみの物語を語っていた。ある隅では、傷だらけの若者たちが瓦礫の陰に隠れていた。彼らは地下闘士で、持てる限りの希望と怒りを武器に抵抗しているのだ。

ダニエルはそっと近づいた。「我々は敵ではない」と低く言った。「我々はクリムゾンフォージだ。王の暴政とその背後の影の力に立ち向かうために来た。」

黒い髪の若者が一歩前に出た。鋭い瞳には勇気と絶望が混じっている。「ほとんどの者はすべてを失ったが、まだ諦めてはいない。君たちは何を計画している?」

ダニエルは同盟を探し、地下組織の情報を集め、アドリアス王を倒すために協力できる者を見つけるという任務を手短に説明した。

若者はカレンと名乗り、「ヴェイルボーン」と呼ばれる小さなグループを率いていた。彼らは影の中で活動し、人間とエーテリオンの暗黒の力の間で微妙な均衡を保っている。

「‘調和の騎士団’の噂も聞いたことがある」とカレンは言った。「人間界とエーテリオンの間に調和をもたらすと言われる古代の組織だが、今は多くにとってただの伝説だ。」

ダニエルはうなずいた。それは混乱の中での最初の具体的な手掛かりだった。

しかし夜が更けるにつれ、遠くからアッシュン・タングの兵士たちの足音が響いた。ダニエルはすぐに皆に隠れるよう命じた。彼らは瓦礫や暗い路地に身を潜め、兵士たちが通り過ぎるのを待った。

突然、影から黒いマントの男が素早く静かに動いて現れた。ダニエルは見覚えのある危険な気配を感じた。

「…アドリアス王の刺客だ」とエララは緊張した声で囁いた。

刺客は一瞬立ち止まり、冷たく計算高い目でダニエルたちを見つめた。やがて闇に消えた。

ダニエルは喉を飲み込み、彼らの存在が既に知られていることを悟った。これは想像以上に危険だった。

その夜、ダニエルは「クリムゾンフォージ」の一時的な隠れ家に戻り、悪い知らせを持ち帰った。王国軍とアッシュン・タングは市民の動きを厳しく監視し、地下活動はますます困難になっている。

だが彼の内には、裏でさらに大きな力が動いているという確信があった。

数日後、ダニエルは変装して宮殿に潜入する機会を得た。王が無力な傀儡に見えるにもかかわらず、威圧的な声で命令を下す姿を自ら目撃した。

荘厳だが陰鬱な玉座の間で、王はヴァルモラの大きな地図の前に立ち、魅力的だが危険なヴァルガンと、計略を隠す目を持つネレクシに囲まれていた。

「奴らにこの街を支配させはしない」とアドリアスは響く声で言った。「ヴァルモラはすべてを犠牲にしてでも力の中心になるのだ。」

ダニエルは、この王が思っていた以上に危険だと悟った。アドリアスの心には、人間もエーテリオンも脅かす闇が潜んでいる。

宮殿を出ると、ダニエルは夜空を見上げ、重くのしかかる責任の重みを感じた。この暴政は単なる操り人形の支配ではない。彼らが知る世界を破壊しかねない、力の危険な駆け引きなのだ。

「ヴァルモラは暴政の下にあるが、王の影はその暴政よりもはるかに暗い」とダニエルは思い、新たな戦略を練って暴政と隠された闇を打ち破る決意を固めた。