第15章 病気 彼は相応しくない

三十分後、大江瑞穂は車を工藤希耀の住むマンションの入り口に停めた。

そして息を吸い込んで、「まさか天海湾なの？誰かから聞いたけど、ここの家は平米7、8万元もするんでしょ？初美、あなたの『旦那さん』、経済力かなりいいじゃない！」

夏目初美は彼女を白い目で見た。「何が旦那さんよ、あなただって事情を知ってるでしょ」

大江瑞穂は真剣な表情で言った。「初美、あなたの話を聞く限り、その工藤さんは本当にいい人みたいだけど。でも若くて綺麗な女の子が、実はよく知らない男性と同じ屋根の下で暮らすのは、やっぱり...しばらくしたら、引っ越した方がいいんじゃない？」

夏目初美は友人が本当に心配してくれていることを知っていたので、頷いた。「もともと長く住むつもりはないの。数日忙しいことが終わったら、部屋を探し始めるつもり。それに彼は私にたくさん助けてくれたから、私にできることがあるなら、見て見ぬふりはできないわ。安心して瑞穂、自分のことはちゃんと気をつけるから」

大江瑞穂は「うん」と言った。「あなたがわかっていればいいわ。そういえば、あなたの両親は引っ越したこと知らないでしょ？私はまだ彼らに言わない方がいいと思うわ。また彼らにプレッシャーをかけられるから。言いにくいけど、あの愛人が妊娠したと知っても、あなたの両親はきっとまだ我慢しろって...咳、自分のことをもっと考えた方がいいわ」

夏目初美は苦笑いした。「瑞穂は私の両親をよく知ってるわね、彼らは本当にそうするわ。特に母は、全く主体性がなくて、父が何を言っても聞いて、父と一緒になって私を追い詰めるだけ。でも私は母を無視することもできない。でも今回は屈服しないわ。私はもう結婚証明書も取ったし、水野雄太も子供を作ったし、もう後戻りできないのよ。安心して」

大江瑞穂はこれ以上何も言わず、夏目初美が車で地下駐車場に入っていくのを見送り、自分もタクシーで帰った。

夏目初美は車を停めると、突然目の前が暗くなった。

車から降りると、めまいはさらにひどくなった。彼女は自分が病気になったのだろうと思い、急いで深呼吸して、エレベーターの方へ歩き始めた。

しかし数歩歩いただけで、ふらふらとその場に倒れ、意識を失ってしまった...

15分後。

工藤希耀が車を完全に停める前に、遠山陽介はドアを押し開け、すぐに車から飛び降りた。