月曜日。
取締役会があるため、工藤希耀は朝早くから出かけていた。
夏目初美と大江瑞穂は昨晩、オフィス家具用品を買いに行く約束をしていたので、工藤希耀の出発からほんの数分遅れただけだった。
昼になり、最初の家具が届いたとき、夏目初美と大江瑞穂はすでに空腹でめまいがするほどだった。「もう無理、無理、早く食べに行かなきゃ、お腹がペコペコで背中にくっつきそう」
「私なんて朝ごはんも食べてないのよ?やっぱり若奥様は幸せね、家には何でも揃ってるんだから。ダメだ、私も若奥様になりたい!」
二人はそう言いながら外に向かった。
夏目初美は大江瑞穂をからかった。「昨晩だってチャンスはあったじゃない。希耀が言ってたわよ、陽介も資産家だって。あなたがピンとこなかったのは誰のせい?」
大江瑞穂は笑った。「私だけじゃなくて、彼もピンとこなかったでしょ?本当に不思議だわ、あんな素敵なイケメンで、人柄も良いのに、どうして私はピンとこないんだろう?まあいいや、自分でキャリアを築いて、自分自身の若奥様になるわ!」
夏目初美は思わず笑った。「そうよ、何も金持ちに嫁ぐことないわ、大江姉さんが自分で金持ちになればいいのよ…」
後の言葉は突然途切れた。法律事務所のドアを出たところで、外に立っている工藤美咲を見かけたからだ。
夏目初美は歯が痛くなるような気分だった。前回以来会っていなかったので、兄が妹を何とかしたのだろうと思っていた。工藤希耀は工藤美咲の前ではかなり強気だったし、彼女を抑えられるはずだった。
どうやら考えすぎだったようだ。
大江瑞穂はまだ状況を理解していなかった。「どうして歩かないの?」
夏目初美が説明しようとしたとき、工藤美咲がすでに近づいてきていた。「夏目初美、1000万円でも兄と離婚する気がないなら、さらに500万円上乗せするわ。1500万円なら満足して離婚してくれるでしょ?」
これで大江瑞穂にも状況が分かった。
彼女は夏目初美の肩をぶつけた。「すごい、1500万円を1500円みたいに言うなんて、本物のお金持ちね。本当に金を取って身を引いたほうがいいんじゃない?このチャンスを逃したら、二度とないかもよ」
夏目初美は彼女を睨みつけた。「余計なことを言わないで。先に料理を注文しておいて、すぐに行くから」