第56章 行動は言葉より雄弁

家に帰って、ストレッチを終え、お風呂に入り、スキンケアをした後、夏目初美はようやく山本涵子と織田樂予が明日の朝一番の飛行機だと知った。

急いで大江瑞穂に位置情報を送るよう頼み、「行くから、30分待っててね」と言った。

しかし大江瑞穂も山本涵子も織田樂予も、来る必要はないと言った。「12月に涵子は奈良でいとこの結婚式に出るし、ちょうど樂予も千葉市で研修があるから、その時にまた会おう。今夜はわざわざ来なくていいよ」

「そうよ、春宵一刻は千金の価値があるわ。あなたのイケメン彼氏と早く寝なさいよ!」

「私たちは12時に解散することにしたの。あなたが来たら、きっと3時になっても解散できないわ。明日私たちは帰ったら残業があるし、効率が悪くて夜中まで家に帰れないなんて嫌だもの。だから初美、本当に来なくていいわ。私たちは他人じゃないんだから、形式的なことはいらないわ」

夏目初美はもう何も言えず、行こうという考えを諦めるしかなかった。

それでも大江瑞穂に住所を聞いて、たくさんの食べ物や飲み物を彼女たちに送った。

ベッドに横になり、手で電気を消して目を閉じた。

でも、どうやって眠れるだろう?

目の前には、かつて水野雄太とキャンパスで過ごした美しい光景、彼女に対する彼の唯一無二の存在感が浮かび、どうしても消し去ることができなかった。

心の中でいくら「痛くない、本当に全然痛くない」と自分に言い聞かせても、無駄だった。

たった1ヶ月ちょっと前のことなのに、どうして痛みがなくなるだろうか?

時間が経つにつれて、その痛みは徐々に和らぐかもしれないが、続く時間は減らないだろう……

「コンコンコン」

突然ドアをノックする音がして、永谷姉さんの声が聞こえた。「奥様、もう寝ましたか?温かい牛乳を用意しましたが、入ってもよろしいですか?」

夏目初美は我に返り、「もう寝たわ、牛乳は…やっぱり、永谷姉さん、少し待って、すぐドアを開けるわ」

すぐに夏目初美がドアを開けると、永谷姉さんは確かに湯気の立つ牛乳を持っていて、彼女を見るなり笑顔になった。「奥様、熱いうちに飲んでください。飲むとよく眠れますよ」