大江瑞穂は首を振った。「やめておくわ。今は仕事に専念したいの。それに、お父さんの状態はあなたも知ってるでしょう。良くて後2、3年、悪ければ来年には...。そんな時に恋愛する時間も気持ちの余裕もないわ」
夏目初美は急いで言った。「それは矛盾してないわ。仕事と恋愛は両立できるものよ。前に瑞穂もそう私に言ったじゃない?叔父さんの病気については、もし本当に愛し合える、仕事も安定していて人柄も信頼できる人を見つけられたら、叔父さんもきっと安心するわ」
「だから、もう一度よく考えてみて。そんなに断固として結論を出さないで。私が悪かったわ。あの時あなたがあんなに大変な時に、力になれなくて。でも今私があなたの力になれたとしても、やっぱり愛する人の支えには敵わないでしょう?」
相手が警察官なら、人柄や道徳心は最低限保証されているはずだ。
瑞穂が彼と一度や二度、「うっかり」あんなことになったのは、明らかに彼に好感を持っている証拠だ。
一度目はまだ一時の過ちと言えるかもしれないが、今回はどう説明する?
彼女はそもそも優柔不断な人でもないし、軽率な人でもない!
感情があって、相手も真剣なら、なぜ試してみないの?
大江瑞穂はまだ首を振っていた。「あの時あなたも忙しくて、家の準備もあったし...咳、自分のことで精一杯だったのに、私の心配までさせるわけにはいかなかったわ。それに私は一人で抱え込む習慣があるのはあなたも知ってるでしょう。それでいいと思ってるの」
「逆に、仕事も忙しいし、家のことも忙しい上に、相手の家族や親戚にも気を遣わなきゃいけないし、妥協したり譲歩したり。そんな時間も気力もないわ。考えるだけで息苦しくなる」
夏目初美は眉をひそめた。「あなたの言うことも確かに事実ね。なぜ恋愛したいかって、それは愛し合っているからでしょう。本当に愛し合っているなら、ずっと一緒に歩んでいきたいと思うはず。そうなると二人だけの問題じゃなくて、二つの家族の問題になるわね」
大江瑞穂は手を広げた。「だからこそ、最初から必ず起こる面倒を芽のうちに摘んでおくの。来年で私は27歳。試行錯誤する機会もそう多くないし、仕事に専念して、両親と過ごす方がいいわ」
「でも...」
夏目初美がまだ何か言おうとすると。