第221章 なるほどの再出発

「これが愛情表現だって?あなたは本当の愛情表現を見たことがないのね。今度見せてあげるわ、どんなものか体験させてあげる……それに、私はドリアンじゃないわよ。私、ドリアンが一番嫌いなの。あなたこそドリアンよ」

「ドリアンはあんなに美味しいのに、好きじゃないの?やっぱり義理の姉と義理の妹は天敵ね。食べ物の好みすら合わないんだから、天敵じゃない訳ないわ……」

夏目初美と工藤美咲は冗談を言い合いながら、すぐにエスカレーターで2階から降り、ショッピングモールの1階のホールに到着した。

隣のブランドジュエリーショップに入る前に、向こうから竹野心がやってきた。

心はとても憔悴しきっていて、痩せたようにも見えた。

そのせいで彼女のお腹は6、7ヶ月には見えず、知らない人が見たら出産間近だと思うほどだった。

彼女もこんなに短い期間で初美と2度目に会うとは思っていなかったようだ。

明らかに一瞬固まった後、唇を噛みしめ、決心したように初美に向かって歩み寄った。「夏目弁護士、話せませんか?」

初美が彼女と話すはずがなかった。この先の人生で二度と彼女の顔を見たくないし、一言も話したくなかった。

すぐに美咲の腕を取り、「行きましょう。今日は買い物はやめておくわ。また今度選びに来るか、家に送ってもらって選んでもいいし。もともと時間も限られてるし」

美咲は心のことを知らなかった。

しかし初美がこれほど避けようとしているなら、当然協力するべきだった。「わかったわ。後で家に直接送ってもらって選びましょう。先に車を取りに行きましょう」

しかし心はすでに初美の前に立ちはだかっていた。「夏目弁護士、あなたが今私を憎んでいるのはわかってます……いいえ、憎むことさえしないんですよね。ただ嫌悪感だけ。わざとあなたの嫌がることをしようとしているわけじゃないんです。でも本当に他に方法がなくて……水野雄太が私に子供を堕ろせと迫ってるんです。もうこんなに大きくなって、生まれたら生きていける子なのに」

「私の体にとっても大きなダメージです……お願いです、私を助けてください。私の子供を救ってください。今はあなた以外に、私たち母子を救える人はいないんです……」

初美は彼女が話しながら泣き始めるのを見て、通行人が皆こちらを見ていることに気づいた。