第307章 人を欺くのが過ぎるとどうなる

西園寺夫人はまだ諦めようとしなかった。

まだ無理難題を押し通そうとして、「同じ血が流れているのは明らかなことよ。これはどこに行っても変えられない事実。どうして何の関係もないなんて言えるの？あなたたちがどう言おうと、おやじがあなたの実の父親で、あなたを産んだだけでなく、二度目の命も与えたという事実は変わらないわ！」

「実の父親なら、息子は親孝行するべきで、言うことを聞くべきよ。そうでないなら、命を返しなさい。命を返した後で、何の関係もないなんて言いなさい！」

夏目初美は怒りで手が震え、西園寺夫人に対する同情が完全に消え去った。

彼女は歯を食いしばって冷笑した。「私の夫は工藤姓で、神戸市工藤家の長男です。義父の工藤さんは数年前に亡くなりました。義父がもういないからといって、誰でも彼になりすまして、夫に親孝行を強いることができるとでも？因果応報を恐れないんですか？」

「それとも今の報いではまだ足りないと思って、さらに悪事を重ねて、もっと激しい報いを受けたいのですか？」

今度は西園寺夫人の心の奥底にある最大の痛みを突かれた形だった。

彼女の息子はまだ若いのに不治の病にかかっている。これが報いでないと誰が言えるだろうか？

結局、この数十年間、彼女にしても、おやじにしても、一つも後ろめたいことがなかったはずがない。

初美を見る目は殺意すら感じられるほどだった。「この生意気な女！お前こそ天罰を受けるべきよ、あなたたち全員が天罰を受けるべきなの！もう無駄話はしたくないわ。あなたたちは恩返しをしなければならない。さもなければ、私は行くわよ...あなたたちの過去の事を告発するわ！私の息子が生きられないなら、あなたも生きられないようにしてやる！」

老人は横で怒りで顔が真っ黒になっていた。

彼女が本当に告発すれば、最初に災難に遭うのは彼自身だ。

そのとき彼女は何か良いことがあると思っているのだろうか。彼女自身が先ほど言ったように、当時彼女と彼女の実家も協力していたのだ。

しかし彼女はすでに狂乱状態で、息子が病気になる前の落ち着きや冷静さは微塵も残っていなかった。

痩せ衰え、老け込んで、以前とは別人のようだった。

彼女を責める言葉は実際に出てこなかった。