翌日、昼食を食べた後、少し昼寝をして、十分に体力を回復させた。
夏目初美と工藤希耀はようやく帰路に着いた。
しかし高速道路に乗ったばかりのとき、初美は見知らぬ番号から電話を受けた。「あなたは双葉淑華の娘さんですか?彼女は家に閉じ込められて、もう死にそうです。急いで戻って助けてあげてください。」
言い終わるや否や、初美が反応する間もなく、電話は切れた。
初美がかけ直しても、もう通じなかった。
何度かけても、「ツーツーツー」という話し中の音だけだった。
初美は眉をひそめた。「何の前触れもなく、いきなりこんな電話。いたずらかもしれないし、罠かもしれない。もういいや、気にせず帰りましょう。」
希耀は彼女の顔が青ざめているのを見た。
彼女が口では「もういい」と言いながらも、心の中では実は心配していることを知っていた。
片手を空けて彼女の手を握り、言った。「やはり見に行ったほうがいいよ。人命に関わることだから、あると信じるべきで、ないと信じるべきではない。たとえ罠だとしても、君の夫である僕がいるじゃないか。何を恐れることがある?財力も知恵も腕前も、彼らが僕の相手になるとは思えないよ。」
初美が何か言う前に。
彼はすでに彼女の代わりに決断していた。「じゃあ和歌山市北のあのインターチェンジで降りよう。」
初美は唇を噛んだ。「彼女がまた悪事に加担するんじゃないかと心配なの。彼女は本当に頭が悪いし、骨のない人だから。前世であの家族に何を借りがあるのかしら?彼らの家族全員を殺したとか、先祖の墓を暴いたとかで、今世で返済しに来たのかしら?」
希耀は言った。「それはわからないね。とにかく着いてから状況を見て、本当に生死の危機なら、人道的な観点から彼女を救おう。もし騙されたのなら、今後彼女がどうなろうと二度と関わらないことにしよう。」
初美はしばらくして頷いた。「うん、着いてから臨機応変に対応しましょう。」
どうせ彼女が同意しなければ、彼らがどんな陰謀や策略を持っていても、無駄なのだから!
夫婦は進み続け。
30分後、予定より早く高速を降り、双葉淑華の家へと直行した。
初美が最後にこのいわゆる「家」に帰ったのは、ちょうど1年前だった。
しかし通りも団地も、以前と同じで、何の変化もなかった。
そして初美に良い思い出を思い起こさせるものは何もなかった。