第123章 橋本燃は大悪を企んでいる

「日にちを数えると、あなたは今、義兄と新婚間もないはずで、二人は丁度ハネムーン中のはずなのに、どうして家にいるの?見たところ、少し憔悴しているようだけど、ちゃんと休めていないの?」橋本燃は松本晴子が話題を変えようとしているのを見ていた。

「時雄がライバル会社に追われて、重傷を負ったの。この数日間、私はずっと病院で彼の看病をしていたから、少し疲れているだけよ。

燃、あなたは医術が優れているから、病院に行って時雄を診てあげられない?彼の苦しみを少しでも和らげてほしいの。」松本晴子は懇願するような目で橋本燃を見た。

松本晴子は橋本燃と温井時雄が接触することを望んでいなかった。

しかし藤原月子は、温井時雄の体調が回復すれば、年明け前に彼女と温井時雄が結婚できると表明していた。

年が明けると様々な事が忙しくなり、そう簡単には結婚できなくなるだろう。

松本晴子は温井時雄との結婚に変更が生じることを望まず、早く温井夫人の座を確固たるものにしたいと思っていた。

だからこそ、橋本燃に温井時雄の治療を頼んだのだ。

「なるほど、だからあなたの顔色がこんなに憔悴しているのね。心配しないで、明日あなたと一緒に病院に行って診てあげるわ。」

松本晴子は橋本燃がこんなにもあっさりと温井時雄の治療を引き受けてくれるとは思っておらず、興奮して言った。「燃、ありがとう。以前、私は衝動的に、あなたを傷つけることをしたけど、それでもあなたが今、私を助けてくれるなんて、本当に感謝しているわ。」

「沢田家で死の危険を経験した後、私は人生で最も大切なのは生きることと家族だと思うようになったわ。家族が平々安全に一緒にいることより大切なことはないと思うの。」

橋本燃は誠実な目で松本老夫人を見つめた。「おばあさま、以前は私が無分別で、母の死について父に恨みを抱き、わざとあなたに逆らって、あなたの苦心を大切にしませんでした。

これからはおばあさまと父の言うことを聞き、真面目に仕事をして、もうあなたたちを怒らせることはしません。おばあさまと父が私に更生の機会を与えてくださることを願っています。」

人は死に臨むと善い言葉を吐くと言われる。

老いて死に近づくと、命の尊さをより感じるものだ。