橋本燃が高橋建慶の88歳の誕生日の招待状を受け取ったとき、新年まであと3日だった。
いつも控えめに行動していた高橋建慶は、大病を患った後、自分の残り時間が少ないことを恐れ、子供たちが彼の88歳の誕生日を盛大に祝うという提案に同意した。
一つには子孫に記念を残すため、もう一つは年を取ると、賑やかさを恋しく思うようになるからだ。
栄光に満ちた人生を送った老将軍として、高橋建慶の誕生日には政界と財界の名士が集まった。
橋本燃は高橋建慶の命の恩人という立場で誕生日パーティーに参加した。
招待状を届けた人は、高橋お爺さんが直接彼女のために招待状を書き、席を彼の右側に配置したと言い、彼が橋本燃をいかに尊重しているかを示し、橋本燃に必ず出席するよう伝えた。
橋本燃は高橋俊年の女性同伴者として、彼と一緒に高橋お爺さんの誕生日パーティーに出席した。
橋本燃と高橋俊年が会場に現れたとき、すぐに会場に騒ぎが起きた。
「あれは帝都高橋家の三男、高橋俊年じゃない?なぜ彼が橋本燃と一緒に来たの?」
「飛炎年華は高橋俊年のものだし、橋本燃は会社の社長として、高橋俊年と一緒に来るのは当然じゃない?」
「温井時雄に3年間も軽蔑されていた主婦が、一変して飛炎年華の女社長になるなんて、本当に励みになるわね。」
「彼女と高橋俊年は今どういう関係なの?付き合ってるの?」
「炎と燃はどちらも火を表す意味よ、飛炎年華は橋本燃と高橋俊年のカップル名で、彼らは確かに付き合っているわ!」
「……」
誕生日パーティーに参加した人々のほとんどは政界の人々で、政界の名士の女性たちはほとんどが上品で高潔で、骨の髄まで書香の気が漂っていた。
彼女たちの観念や潜在意識を超える橋本燃のような女性を見て、好奇心はあるものの、財界の名士の女性たちのように極端に刺々しい言葉を使うことはなかった。
政界で要職に就いている数人と挨拶を交わしていた温井時雄は、橋本燃が高橋俊年の腕を組み、身をくねらせながら入ってくるのを見たとき、黒い瞳が深く沈んだ。
今日の橋本燃はワインレッドのチャイナドレスを着ていて、ドレスには白い蘭の花がいくつか飾られており、橋本燃の体のラインを曲線美豊かに描き出し、愛らしい魅力的な雰囲気を醸し出すと同時に、冷艶で人を圧倒するような高級感に満ちた姿に見せていた。