第153章 私は死んでも、あなたの助けはいらない

松本羽源は目を大きく見開き、怒りに満ちた声で叫んだ。「橋本燃の言っていたことは本当だったのか、本当に姉さんを殺したのはお前なのか?」

「橋本燃は間違っていないわ。確かに私が姉さんを殺したの。本来ならあなたの手を借りて橋本燃というライバルを排除すれば、この世で温井時雄を奪い合う人間はもういなくなるはずだった。

でも残念ね、あなたという役立たずの馬鹿は、橋本燃が武術を全く使えない状態でも殺せなかった。まあいいわ、橋本燃は私の龍鳳蝗術にかかっているから。

私が手を下さなくても、彼女に残された命はせいぜい一ヶ月よ。」松本夕子は不気味な笑みを浮かべながら得意げに言った。

「この売女め、自分の実の姉さえ殺すとは、お前という畜生以下の存在を殺してやる!」羽源はナイフを手に夕子に突きかかった。

しかし彼の手が宙に上がったところで、何かが背後から彼に飛びかかり、背中の肉が一部噛みちぎられるのを感じた。

生きた心地がしないほどの痛みが押し寄せてきたが、彼の口からは声一つ出なかった。

喉の中で無数の虫が噛み砕いているような感覚があり、言葉では表現できないほどの痛みで、助けを求める声すら出せなかった。

そして、数十匹の狼が走り寄り、瞬く間に彼を取り囲んだ!

「愛しい兄さん、安心して愛しい姉さんのところへ行きなさい。すぐにお父さんとお母さんも行かせて、家族全員で再会させてあげるわ。」

羽源は声も出せず、大きく見開いた目で、血に飢えた笑みを浮かべ、歪んだ変態じみた夕子を見つめながら、腸が千切れるほど後悔した。

橋本燃は彼を騙してはいなかった。

夕子という心の歪んだ変態的な悪魔は、本当に彼らに復讐するために戻ってきたのだ。

しかし、どれほど後悔しても結果は変わらず、彼は果てしない憎しみと後悔を抱えたまま、完全に命の意識を失った。

……

温井時雄が病院に着く前に、後部座席に座っていた燃は体内の薬物の刺激で目を覚ました。

燃は片手で後部座席から時雄の前まで這い上がり、事故を恐れた時雄はすぐに車を路肩に停めた。

「苦しい、あなたが欲しい……」燃は時雄の首に手をかけ、身を乗り出して時雄の唇にキスしようとした。