第193章 命を失うよりも、一か八かの賭けに出る方がマシだ

「雷田さん、冷静になってください。まずは交渉しましょう。それからこの爆弾を爆発させるかどうか決めてはいかがですか?」高橋俊年が雷田震の近くまで歩み寄り、落ち着いた声で言った。

高橋俊年を見て、橋本燃は意外に思うと同時に、理にかなっているとも感じた。

一度俊年が彼女が牢獄にいないことを発見したら、必ず彼女が高橋将軍に連れ出されてユダ国で任務を遂行していることを知るだろう。

「お前は何者だ?蒋という奴はどこだ?あの臆病者は来なかったのか?」雷田震は軽蔑的な目で俊年を見ながら尋ねた。

「高橋将軍はすでに到着しています。ただ年齢が少し高いので、ここまで上がってくるのに時間がかかっているだけです。私は高橋俊年と申します。北虹国三軍総司令官高橋承伯の孫です。また、軍務処の三級参謀でもあります。あなたの要求があれば、必ずお手伝いします。どうか冷静になって話し合いましょう。一時の感情で取り返しのつかない後悔を残さないでください」俊年は穏やかな声で言った。

「ハハハハ...俺はこの一生、楽しむべきことは楽しんだ。愛すべきものは愛した。戦うべきときは戦った。今死んでも、一片の後悔もない。むしろお前たちこそ、若くて有望で、まだ子供もいない。今俺と一緒に死ぬことになれば、無限の後悔が残るだろう?」震は嬉しそうに言いながら、赤いボタンを押そうとした。

「ハハハハハ...これが世間で言う超一流の麻薬王か?戦わずして敗れ、自爆という形でこの世から消えようとするとは。本当に哀れで滑稽で悲しいな」

広い中庭に、温井時雄の爽やかで皮肉な笑い声が響いた。

「何が言いたい?俺がどうして哀れで滑稽で悲しいんだ?」震は冷たい目で時雄を見つめた。

「聞きたいんだが、世界中に麻薬密売人はたくさんいるのに、なぜお前が支配する落花山だけがこんなに早く発展し、こんなに多くの人々がお前に従いたがるんだ?どうして小さな落花山が数十年で数万人の規模に成長し、小国家のように繁栄して、お前に建国の野心を抱かせたんだ?」時雄は震の目を見つめながら尋ねた。

震はしばらく考えたが答えが出てこず、冷たい目で時雄を見た。「なぜだ?」

「お前が答えを出せないなら、おそらくお前の部下たちが代わりに答えられるだろう!」