第205章 医者は必ずしも学力優等生ではない

以前、落花山に閉じ込められ、父親の血に頼って生きていた雷田さくらは、生きる希望を全く持っていなかった。

彼女は頭が良く、医学に情熱を持っていたが、自分がすぐに命を落とすと思うと、勉強する意欲も湧かなかった。

今、橋本燃が彼女の病気を治す方法があると言い、一ヶ月以上の治療を経て、体の重だるさが消えていくのを感じていた。

これで自分の体が本当に正常に戻るかもしれないと思うと、勉強への意欲も湧いてきた。

「さくらちゃん、素晴らしいわ。あなたならきっと素晴らしい医者になれるわ!」燃はさくらを賞賛の目で見つめた。

「ふん...中学も卒業してない人間が、まずは大学入試に合格してからにしたらどうだ?」琰は軽蔑した声で言い放った。

「お兄ちゃん、本当に私の兄なの?どうして妹の幸せを願ってくれないの?」さくらは不満そうに小さな唇を尖らせた。

「もちろん幸せを願ってるさ。ただ現実を見てほしいんだ。大学入試は君が想像してるほど簡単じゃない。今のうちに冷や水を浴びせておけば、試験に落ちた時のショックも和らぐだろう」琰は現実的に言った。

彼の妹は幼い頃から山賊の山に閉じ込められていたが、父親は彼女を極めて大切に守り、純粋な心と強い自尊心を持つ子に育てた。

小さい頃は体が弱く、父親は最高の家庭教師を雇って一対一で読み書きを教えた。

後に体調が少し良くなると、山の学校に通わせた。

しかし、クラスメイトに「吸血鬼」とからかわれた後は、どんなことがあっても学校に行こうとしなくなった。

「お兄さんの言うことは正しいわ。大学入試は簡単じゃないけど、努力次第よ。あなたが頑張れば、きっと成功するわ。

今回うまくいかなくても、数ヶ月治療を続ければ体は回復するから、その時は高校三年生に編入できるわ。

来年の入試に向けて一年間頑張れば、きっと成功するわよ」燃は微笑んだ。

「やっぱり燃姉さんの言葉は優しいね。私、絶対に頑張って、今年帝都医科大学に合格するわ」

燃は賞賛の目で頷いた。「帝都医科大学は北虹国で最高の医学部よ。さくらちゃんは本当に大きな志を持ってるのね。私が入試対策を手伝うわ」

「本当?手伝ってくれるの?姉さんは入試を経験したし、医術もすごいから、姉さんが手伝ってくれれば、絶対に合格できるわ」さくらは目を輝かせて言った。