第224章 橋本燃と兄弟の契りを結ぶ理由

橋本燃は高橋俊年が兄のような温かい目で彼女を見ることに慣れていたが、突然彼からこのような深い愛情と甘やかしの目で見つめられると、全身に針が刺さったように、とても居心地が悪かった。

「高橋お兄さん、私は…」

燃が数言葉を発したところで、彼女のポケットの携帯電話が鳴った。雷田琰からの電話だった。

「さくらが化学療法中に突然鼻血が止まらなくなった。すぐ病院に来てくれ!」

燃の顔色が一瞬で青ざめ、急いで返事をした。「慌てないで、すぐ行くから。」

「さくらが大出血してる、病院に行かなきゃ。」燃の声は緊張で少し震えていた。

雷田さくらはここ数日の治療経過が非常に順調で、あと2ヶ月もすれば正常に戻るはずだった。今日の定期的な化学療法中に突然大出血するなんて、理解できなかった。

この数日間、琰は父親を裏切ったことに罪悪感を抱き続けていた。もしさくらに何かあれば、琰がどうなるか想像したくもなかった。

高橋俊年は冷静な声で言った。「慌てないで、今すぐ送るよ。」

高橋の車が出発するとすぐに、温井時雄と藤堂健太の二人も急いでレストランから走り出てきた。

時雄は運転席に座り、健太を乗せて素早く病院へと向かった。

高橋の車が病院の救急入口に停まると同時に、後ろにもう一台の車が素早く停車した。

燃は車から降り、車から出てきた藤堂健太を見た。視線を少し移すと、運転席に座っている温井時雄が見えた。

ほんの一瞥だけで、燃はすぐに救急室へと駆け込み、健太もその後を追った。

二人が救急室に入ると、数人の医師がベッドの周りに集まり、さくらの救命処置を行っていた。

この時、さくらはすでに意識不明の状態で、モニターには心拍数が50と表示され、極めて弱々しくゆっくりと脈打っていた。

燃の胸が締め付けられた。状況が深刻だとは思っていたが、命の危機に瀕するほどとは想像していなかった。彼女は急いで前に出て、意識不明のさくらを診察し始めた。

健太もさくらの容態がこれほど急激に悪化するとは思っておらず、すぐに燃の隣に立ち、彼女を手伝った。

……

病院の屋上で!

星が散りばめられた夜空の下、温井時雄と高橋俊年が屋上の手すりの前に立っていた。