第232章 医は仁心、医は衆金を集める

試合の開会式で、北虹国の国旗が印刷された白い医師服を着た橋本燃と藤堂健太は、参加医療チームと共に時間通りに安城メディカルセンターに集合した。

各国は5名の医師と5名の看護助手の参加が制限されていた。

燃の看護助手は男性看護師の佐藤凡で、健太の看護助手は山本麗で、どちらも第一病院の厳しい審査と選抜を通過した人材だった。

仕事の経験もストレス耐性も非常に優れていた。

世界中から100カ国以上が参加し、開会式の高揚感あふれる音楽の中、参加者たちは整然と舞台中央へ向かい、観客の歓声と注目を浴びた。

燃たちの医療チームが舞台中央に歩み出たとき、会場の数万人の観客が一斉に立ち上がり、熱狂的な声援を送った。

「北虹国の医師たちは強い!北虹国必勝!」

「医は仁術、医は金を集める、北虹国頑張れ!」

「五千年の中医学の伝統、今こそ台頭の時!」

「……」

舞台上で花束を持って踊るボランティアの中に、燃は温井時花の姿を見つけた。

いつも何でも話す仲だったのに、今回は彼女がボランティアに選ばれたことを隠していたなんて。

燃は微笑みながら時花に親指を立てた。燃が自分に反応したのを見て、時花はもともと花のように輝いていた顔がさらに魅力的な笑顔になった。

「医療コンペティション」の試合は全編生中継され、午前中3時間の開会式が終わると、午後からは緊張感あふれる競技が始まる。

路地裏の目立たないクリニックで、温井時雄は豪華に装飾された病室に横たわり、目の前の投影された生中継を見ていた。彼の顔色は血の気がなく青白かった。

彼の人中には深い爪痕があった。

開会式を無気力に見ていた男性だったが、北虹国医療チームが登場すると、虚ろだった瞳が一瞬で生き生きと輝いた。

傍らにいた山本煜司は時雄の変化を見て、目に浮かぶ心痛がさらに深まった。

今回の燃を救う行動で、時雄はあわや命を落とすところだった!

彼の両肺は裂け、脾臓と胃は刺されて出血し、斎藤教授が4時間かけて救命し、ようやく時雄を死の淵から引き戻した。

「社長、橋本さんと離婚してから、あなたは何度も彼女を救うために怪我をしています。お願いですから、もうこれ以上自分を危険にさらさないでください。橋本さんへの贖罪は十分です。