二年後!
北虹国の首都、帝都!
高橋家!
北虹国の建国の元老の一人である高橋博樹は、かつて前三軍総司を務め、一等功臣として栄誉ある退役後、その息子である高橋啓山が彼の軍号を継承し、現在は海軍総司を務めている。
今日は高橋啓山の63歳の誕生日。普段は控えめな高橋家だが、例外的に多くの友人を招き、啓山のために帝都で最高のホテル、飛煌国際ホテルで誕生日パーティーを開いていた。
ホテルの二階の休憩室で、華やかで気品のある装いをした三人の女性が、一面ガラス窓越しに、下階でグラスを手に会話を交わす男女たちを眺めていた。
「今年もあのブスは叔父さんの誕生日に来るのかしら?あんなに醜いんだから、絶対に来てほしくないわ。今日のお客さんはみんな政界の名士なのに、彼女が来て客を驚かせたら大変よ」高橋若渓は下の階を見回しながら、嫌悪感たっぷりの声で言った。
「私が思うに、おばあさまの彼女への愛情からすれば、きっと招待しているはずよ。彼女が来なければ、おばあさまは泣きながら来てくれるよう頼むことになるわ!」坂本涼子は、ソファに座り、姿勢よく、まるで絵のように繊細な顔立ちの少女を見ながら、確信を持って言った。
高橋夢耶は美しい眉をひそめ、艶やかな瞳に不満の色を浮かべた。「そうよね?あのブスはさすがに自分の立場をわきまえていて、父の誕生日会には政界の名士が多く来るから、お客さんの気分を害さないように来ないと言ったのよ。
でも私のおばあちゃんったら電話で息も絶え絶えに泣いて、ブスが来なければ、次に会うのは彼女のお葬式になると言って、ブスが来ざるを得なくなったのよ」
「気持ちはわかるわ。おばあさまは何十年も閉じ込められていたんだから、誰が救い出してくれたかで、その人を一番好きになるのは当然よ。少し大目に見てあげたら?」涼子は優しい声で諭した。
「あの老婆なんて帰ってこなければよかったのよ。帰ってきたら家中が大騒ぎになって、みんながあのブスを好きになるなんて。
みんなはあのブスがすごいって言うけど、私から見れば何の取り柄もないわ。私たち家族と親戚づきあいする資格なんてないのよ」夢耶は軽蔑した口調で言った。