橋本燃が病気で混沌としていた半年の間、彼女の頭脳は全く冴えず、会社の事柄について何の決断もできなかった。
飛炎エンターテイメントと松本志遠の手から取り戻した橋本グループは、雷田琰、星野輝、佐藤淘子が管理運営し、重要な決断は高橋俊年と彼らが一緒に協議して決めていた。
その半年の間に、淘子は急速に成長し、燃が仕事に復帰したとき、淘子がすでに一人前の才能を持っていることに気づいた。
燃は淘子に飛炎会社の総支配人を任せようとしたが、淘子は彼女の特別補佐として細々とした事務を処理し、仕事量を分担することを固く主張した。
燃は外部の多くの会社がヘッドハンターを使って、より良い条件で淘子を引き抜こうとしていることを知っていたが、淘子はお金に惑わされず、常に彼女のそばに留まることを選んだ。淘子の情に厚い義理堅さに、燃は非常に感動していた。
「読んでから返事するわ!」
電話を切ると、燃はベッドから起き上がって身支度を整え、トーストを二枚焼き、牛乳を一杯持ってパソコンの前に座り、メールボックスを開いてファイルをダウンロードした。
ファイルを見ながら朝食を食べていたが、見ているうちに手に持っていたパンを食べることを忘れてしまった。
なぜなら、企画書の内容があまりにも豊かで魅力的だったからだ。
伊藤興文が今回制作するバラエティ番組の名前は『姉のステージ姉が主役』だった。
プロの俳優、プロの歌手、プロのコメディアンの中から、名声があり、評判が良く、ファンの動員力のある大物をチームリーダーとして選び、さらに各チームに知名度の高い順に6人の女性芸能人を選んで、3チーム21人の異なる年齢層の「お姉さんチーム」を結成する。
21人の姉たちが21日間の鬼のようなトレーニングを経験し、最終的に3人がグループを結成する。
競技形式にしても、ルールにしても、内容の見どころにしても、燃は読み終えた後、感嘆せずにはいられなかった。
さすがは28歳にして5つのヒットバラエティ番組を生み出した天才バラエティディレクター伊藤興文だ。
2年の時を経ても、彼が思いついたアイデアは、他の人が想像しても実行する勇気がないような番組だった。