第351章 一日三食、白髪まで共に

「花は美人に似合う。今夜、美人と一緒に夕食を楽しむことはできるかな?」

目の前の大きな薔薇の花束を見て、橋本燃の心は喜びで一杯だった。

彼女はお金に困っているわけではなく、花を買うことはできたし、特に花が好きというわけでもなかった。でも好きな人からもらうと、なぜか心が弾むものだ。

「もちろん!」燃は花束を受け取り、香りを嗅ぎながら笑って尋ねた。「どうして私が出てくるって分かったの?もし他の人だったら、気まずくならない?」

田中黙は地面に置いてあるスマホを指さした。スマホのカメラが起動していて、画面には二人の姿が映っていた。

「頭を使えば、方法は困難より多いものさ!」黙は地面からスマホを拾い上げ、自然な動作で燃の肩に手を回し、一緒に車へと歩き出した。

車が公道の車の流れに合流すると、燃は抱えた花束を愛おしそうに何度も香りを嗅いだ。

「どこに連れて行ってくれるの?」

「着いたら分かるよ!」

黙の神秘的な様子を見て、燃はそれ以上追求しなかった。

恋人同士は恋愛中、お互いにサプライズやロマンチックな演出をするものだ。

以前は想像すらできなかったこんな場面が、今まさに自分の身に起ころうとしていることに、燃は胸を躍らせ、期待に胸を膨らませた。

1時間後、車は店構えは大きくないが、洗練された装飾が施され、非常にロマンチックな雰囲気のレストランの前に停まった。

レストランの名前を見た瞬間、燃の心は動かされた。

「一日三食 白髪まで共に!」

人は一生、一日三食を食べるだけ。

誰かと一日三食を共にし、白髪になるまで一緒に過ごすことは、とても素敵なことだ。

「ここは帝都で有名なカップルの聖地なんだ。ここで食事をするカップルは、もう来年まで予約でいっぱいだよ」

目の前のレストランは普通に見えるが、多くの店がそうであるように、一見すると名も知れない店でも、多くの人に愛され、並んででも食べたいと思わせる魅力があるのだろう。

「それじゃあ、この店の味はきっと美味しいんでしょうね。今日はたくさん食べて、あなたのお財布を空っぽにしてやるわ」燃は笑って言った。

「すみませんが、メニューは彼らが用意した六菜一湯で、100元だけです」

「100元だけ?このオーナーはチャリティーでもしているの?」