第374章 恥ずかしさのあまり審査員を殴る

外部の人から見れば、都市計画課への異動は分野違いだが、彼自身だけが知っていることがある。それは、彼がいかに設計と計画を愛しているかということだ。

田中黙はファイルを手に取って開いた。中には美しく設計された壮大な建物の図面が並んでいた。住宅ビル、ホテル、都市のランドマーク、橋梁設計などだ。

これらの設計作品の横には建築業界の様々な公式印が押されており、これらの作品が栄誉を受けたことを示していた。

黙は最後のページをめくった。それはこれまでのどの作品よりも美しく魅力的な別荘だった。六階建ての別荘の外には広大な公園があり、その内部のレイアウトは非常に美しく壮大だった。

別荘の名前は墨燃邸。

半年前、軍医から体内の毒が完全に除去され、普通の人のように生活できると知らされた後、一日で描き上げたものだった。

そんなに早く描けたのは、この別荘がよく彼の夢に現れていたからだ。

夢の中で、彼と橋本燃はこの別荘で幸せに暮らし、庭では子供たちが笑いながら追いかけっこをして遊んでいた。

今やこの別荘はすでに内装が完成し、作業員たちは庭の工事を進めている。あと一ヶ月もすれば、完全に完成するだろう。

彼と燃が結婚すれば、ちょうど引っ越すことができる。

すぐに燃と自分がデザインした新居に住めると思うと、黙は体中にエネルギーが満ちあふれるのを感じ、すぐに全力で仕事に取り組み始めた。

……

翌日の昼、番組の収録を終えた後、燃は温井時潤に電話をかけたが、彼が昨夜すでにM国へ飛び立っていたことを知らされた。

電話で時潤は、考えた末、黙のしたことすべてを理解したと言った。

黙は今や田中家の人であり、自分が温井時雄であることを認めないのは、きっと温井家を守るためだろうと。

電話で時潤は燃と黙の幸せを祈り、結婚式には必ず招待して欲しいと言った。

燃は時潤の優しさを知っていた。彼は決して本当に黙を恨むことはないだろう。心にのしかかっていた大きな石が下りた気分だった。

高橋家の件については、黙が介入しているので、燃はまったく心配せず、精神を集中して番組の収録に臨んだ。

あっという間に三日が過ぎ、最初の公演生放送の日を迎えた。

そう、本当に生放送だ。

伊藤興文が求めていたのは、まさにこの競争の緊張感と興奮だった。彼は再び生放送番組に挑戦した。