協議の時間となり、温井詩葉の三人組が最後のグループとしてステージに上がった。詩葉のグループは人気投票数が最も高かったため、詩葉が最初に選ぶことになった。
他の三チームは早く到着していたが、詩葉のグループがステージに上がるのを待っていた。
「温井詩葉チームリーダー、あなたのグループが選びたい応援審査員の名前を大きな声で言ってください……」司会者は正確な発音で尋ねた。
詩葉は目の前の審査員たちを見回し、最後にカメラを見つめて無理に笑いながら言った。「橋本燃!」
詩葉の言葉が口から出るや否や、観客席からは驚きの声が上がり、皆が小声で議論し始めた。
「あの日早く帰ったけど、詩葉と橋本が喧嘩したって言ってなかった?なんで橋本を選ぶの?」
「私も分からないわ。本当に反省して、この機会に橋本に謝りたいのかもね!」
「それなら詩葉は本当に度量が大きくて、心が広い人ね。」
「詩葉はずっといい子だったわ。お金持ちの家に生まれたのに超努力家だし、彼女がデビューした時から熱狂的なファンになったのは無駄じゃなかった。」
「……」
審査員席に座っていた橋本燃は、この答えを聞いて意外に思う一方で、予想の範囲内でもあると感じた。
詩葉は答えを言う時、彼女を一度も見なかった。きっと誰かに説得されて、彼女を選んだのだろう。
どうやら林田笑々は我慢できず、第四回公演で彼女に手を出すつもりのようだ。
「温井詩葉チームが選んだ応援審査員は、美しくてかっこよく、鋭くて大胆、そしてユーモアと専門性を兼ね備えた橋本社長です。橋本社長、あなたの答えをお聞かせください。同意しますか、それとも辞退しますか?」
皆の視線が橋本に集まり、彼女の答えを待った。
もし彼女が辞退すれば、橋本は度量が狭いということになる。
橋本は赤い唇を少し動かし、輝く笑顔で詩葉を見つめた。「詩葉が私を応援チームリーダーに選んでくれて嬉しいわ。私の知識を活かして、あなたの仕事をサポートし、チームが優れた成績を収められるよう全力を尽くすわ。」
笑々がどんな手を打とうとも、彼女は逃げるつもりはなかった。
なぜなら笑々は彼女の対戦相手としてはまだ資格が足りないからだ!
詩葉は橋本の言葉を聞きながら、心の中では軽蔑していたが、これから橋本と三日間協力して二曲の歌を歌わなければならない。