第267章 たまちゃんは彼の真髄を受け継いだ

個室の外で、後藤澄玲は電話に出た。「良真」

そして返事をした。「外にいるの?わかった、今行くわ」

電話を切ると、後藤澄玲はまっすぐ出口へ向かった。

駐車場に着くと、後藤澄玲はいつもの紅旗車を見かけず、黒いベンツが駐車場の一番外側に停まっていた。ナンバープレートも普通のものだった。

後藤澄玲はその車が違うと一目で感じ、近づいていくと、土屋秘書が本当に車から降りて、彼女のために後部座席のドアを開けた。

後藤澄玲は堂々と座り込んだ。「みんな中にいるわ。あなたも入って少し座らない?」そして何かを思い出したように笑って言った。「でも、それも無理ね。あなたの立場では今は適切じゃないわ」

そうでなければ、こんな車に乗り換えてここに来ることもなかっただろう。

深井良真は笑って言った。「君たちと同じようにしたいけど、身動きが取れないんだ」