第272章 君が恋しい

そこで、後藤澄玲を見つめながら静かに言った。「澄玲、もし北都と再婚したいなら、私は許さないよ。理由は聞くまでもないだろう。今後誰と一緒になろうと私は意見しないが、北都だけはダメだ」

陸橋北都が深井唯一に道を譲るよう彼に言った時から、彼はこの縁談を良しとは思っていなかった。娘に彼と一生を共にさせるつもりはなかったのだ。

今となっては、二人はようやくきれいに別れたのだから、再婚など何をする必要があるのか。

後藤啓華が珍しく悪役を買って出て、彼女と陸橋北都の再婚を固く禁じ、誰と一緒になってもいいが陸橋北都だけはダメだと言うので、後藤澄玲は笑った。

そこで彼女はわざと尋ねた。「景陽ならいいの？」

後藤啓華はすぐに顔を曇らせた。「どうして陸橋家とそこまで仲たがいするんだ？世の中の男は陸橋姓だけじゃないだろう？」さらに言った。「景陽とならもっと反対だ。もし景也の名前を出したら、後藤澄玲、私がぶつぞ」