082 十七歳の夭夭、お誕生日おめでとう

「直線距離534メートル」

「風速は毎秒2.7メートル」

「空気中に霧も埃の大粒子もなく、視界良好」

このような距離と天候は、神射手にとって滅多にない好機だった。

彼の右耳には黒いイヤホンが掛けられていた。

全身黒の伸縮性のあるボディスーツを着て、夜の闇と一体化していた。

この位置は視界が広く開けているが、非常に隠れやすく、発見されにくい。

イヤホンから声が聞こえてきた。

「行動開始か?」

「まだだ」神射手は双眼鏡を手に取り、眉をひそめた。「彼の隣にまだ老人がいる。一人になったところを狙う」

無関係な人を傷つけたくないからではなく、騒ぎを最小限に抑えるためだった。

イヤホンからの声はまだ続いていた。

「本当に手伝わなくていいのか?彼の情報を教えてくれれば、一緒に行動できる。絶対に逃がさないぞ」

「必要ない」雲深は考えもせずに断った。「俺が見つけた獲物を、なぜお前と共有する必要がある?」

10億米ドル。

この懸賞金さえ手に入れば、数年は休むことができる。

情報も苦労して調べたものだ。他のハンターに教えるわけがない。

「ちっ、わかったよ」イヤホンの声は無関心そうだった。「でも忠告しておくぞ、つい先日、銃神ランキング94位の奴が失敗したんだ」

「連続5発撃っても当たらなかった。相手はただの一般人だぞ。気をつけた方がいい」

神射手は冷笑した。「余計なお世話だ」

彼は銃神ランキングで7位だ。

94位の奴と比べられるのか?

冗談じゃない。

神射手は通信を切り、イヤホンを外して脇に投げた。

彼は高さを再調整し、体を低く伏せた。

**

アパートの中。

子衿の手当てのおかげで、温井風眠の体調はかなり良くなっていた。

だから今夜のテーブルに並んだ料理は、すべて彼が一人で作ることにこだわったもので、奈海が手伝いをしていた。

特に高級なものではなく、家庭料理ばかりだったが、見た目も香りも味も申し分なかった。

テーブルの中央には大きなケーキが置かれ、その横にはろうそくが添えられていた。

風眠はエプロンを外し、手を拭いた。「家が狭くて、皆さんには申し訳ありません」

彼は清水県に十数年住んでいたが、東京に来たのは今回が初めてだった。