129 社長、あなたはなぜ自ら来たのですか?【1更】

スタッフは根岸朝を見向きもしなかった。

口調は荒く、濃厚な嘲笑の意味を含み、心の中は軽蔑で満ちていた。

スターを除いて、横浜映画村は毎月多くの貴賓客も迎えている。

これらの貴賓客は、エンターテイメント業界の真の金主だ。

彼らが気軽に渡すチップでさえ、数千から数万円にもなる。

今夜彼らが担当しているこの撮影班は小さいが、何人かの俳優は先日最も人気のあった百人選抜番組『青春101』の出身者だった。

その中の一つの会社が大金を投じて、彼らに良いもてなしをするよう頼んでいた。

ちょうど今、あちらでは一つのシーンの撮影が終わったところで、俳優は休憩し、次の撮影の準備をしなければならなかった。

しかし普通の椅子は硬すぎるため、マネージャーは彼に柔らかいリクライニングチェアを持ってくるよう頼んだ。

スタッフはもちろん怠ることなく、すぐに探しに行った。

どこから来たのかわからないエキストラのコメディアンが、主演俳優と椅子を奪い合おうとするなんて?

しかも、この椅子は自分のものだと言うのか?

もう夜なのに、まだ白昼夢を見ているのか。

スタッフは再び根岸朝を上から下まで見回し、非常にいらだった様子で言った。「早くどけ、時間を無駄にしたら、お前が金を払うのか?あぁ?!」

「金を払う?」朝は我慢に我慢を重ね、それでも蹴りを入れることはせず、「お前の給料を全部没収してやる!」

これは彼が特別に妹のために用意した豪華な椅子で、クッションには上質なスワンベルベットが使われており、特に観劇用に作られたものだった。

こんな椅子一つで、すでに一万円以上かかっている。

何の犬畜生の六条さんだって?

ふさわしいのか?

朝はどれほど学がなくても、根岸家の出身であり、空手道は黒帯だった。

さらに言えば、根岸亦の長年の威圧の下で、かなりの訓練を受けていた。

先ほどスタッフが彼の手から椅子を奪えたのは、彼がこのような事態が起こるとは全く予想していなかったからだ。

朝はほんの少しの力を使っただけで、椅子を再び奪い返した。

スタッフは信じられない様子だった。

彼が手を伸ばして再び奪おうとしたが、朝の相手ではなかった。

「終わりだ、お前は終わりだ」スタッフは焦って足踏みをした。「六条さんの椅子を奪うなんて、横浜でもう仕事したくないのか?」