154 仮面を外して、人を驚かす【2更】

録画映像によると、庄司曜之はエクストリームバイクの最中に突然体を痙攣させ、その後地面に倒れた。

この時はまだ夜が明けきっておらず、朝の5時過ぎということもあって、観客もほとんどいなかった。

周りには番組スタッフと、他のエクストリームスポーツを行っている俳優たちだけだった。

他の俳優たちはこちら側に気を配る余裕がなく、曜之が気を失ったことにまったく気づいていなかった。

ネットユーザーたちが目にしたのは、丸8分間、近くにいたスタッフや同行していた医療チームが誰一人動かず、談笑している様子だった。

近くにいたファンが駆け寄ろうとすると、番組プランナーに「撮影の邪魔をするな」と叱責された。

9分目になってようやく番組スタッフが異変に気づき、急いで駆け寄った。

しかし、この時にはすでに蘇生のゴールデンタイム4分を過ぎていた。

自動体外式除細動器を持ってきても、もはや手遅れだった。

番組スタッフはこのような事態を全く予想しておらず、しばらく右往左往した後、ようやく119番通報した。

救急車が曜之を病院に搬送したのは、すでに6時半だった。

録画映像では、曜之が地面に倒れ、生きようと必死にもがく無力な姿が映っていた。周りには誰も助けに来ず、やがて彼の動きは止まっていった。

この光景に、ネットユーザーたちの目は赤く充血した。

【星光エンタ、お前らは冷血だ!!!自社の影帝をこんな扱いするなんて、会社の練習生や地位のない俳優たちがどんな待遇を受けているか想像もできない。】

【神医がいて、庄司影帝の意志も強かったからよかったものの、そうでなければ本当に命を落としていた。星光エンタ、お前らは殺人犯だってわかってるのか?】

【庄司影帝が目覚めたからといって何事もなかったわけじゃない。殺人犯は殺人犯だ。@西風法律事務所V、星光エンタを訴えてやれ、私たちが庄司影帝のために訴訟費用をクラウドファンディングする。】

ファンたちは星辰エンターテイメントの契約条項がいかに一方的かを知っていた。

曜之が一本の映画で得る報酬のうち、星光エンタは9割を直接抜き取っていた。

残りの1割で、曜之は自分のチーム、アシスタント、メイクアップアーティストなどを養わなければならず、これらは星光エンタはまったく面倒を見なかった。