地下鉄の真ん中の車両のドアが開いた。
先ほど彼を止めた乗務員が自ら降りてきて、とても恭しく少女を迎え入れた。
彼女はこちらに横向きになっていて、距離は遠かったが、輪郭ははっきりと見えた。
加藤勲は男子学生の声に従って見てみたが、横顔を一瞬見ただけで、少女はすでに地下鉄に乗り込んでいた。
ドアが閉まると、地下鉄は走り去った。
地下鉄駅は空っぽになり、他の人もいなくなった。
「まさか?」隣で、インターナショナルクラスの学生たちは笑い出した。「加藤先生が私たちをここに連れてきて、通行証も使ったのに、彼女が高校2年生の学年トップだとしても、ノートン大学の人間じゃないよ」
通行証がなければ、あの電話ボックスに入ったとしても、この地下鉄駅には来られないはずだ。
別のインターナショナルクラスの学生も言った。「そうだよ、彼女が面目を保つために私たちについてきたとしても、入れないはずだよ」
二人の仲間がそう言うので、男子学生は躊躇した。「見間違えたのかな、でも…」
勝山子衿のあの顔は、攻撃性が強すぎて、青葉では知らない人はいないだろう。
一度でも見たことがあれば、横顔だけでも忘れることはないはずだ。
まさかノートン大学に入れることになって興奮しすぎて、人を見間違えたりはしないだろう?
加藤勲も彼がここで本当に子衿に会えるとは思っておらず、それはとんでもない冗談だと思った。
ノートン大学の副学長が自ら迎えに来るような人物なら、帝都大学の学長でさえ格が足りないだろう。
ノートン大学の世界一の実力はそこにあり、遥かにリードし、揺るぎないものだ。
おそらく学術界のトップレベルの人物だろう。
加藤勲はそれ以上考えなかった。
副学長どころか、ノートン大学で4年間過ごしても、彼は管理職の一人にも会ったことがなかった。
D級学院の学生は、ノートン大学の核心部分に触れることはできないのだ。
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地下鉄の中。
この地下鉄の内部は外観と全く異なっていた。
中世の古代ローマ風を踏襲し、窓の横にはキャンドルスタンドや油絵もあった。
座席はなく、代わりにティーテーブル、ソファ、本棚などがあった。
車両というよりも、豪華な部屋のようだった。
子衿は目を上げ、その中の一枚の絵に注目した。バロック様式が濃厚だった。
明らかにキノ・フォンの作品だ。