勝山子衿は顔を上げ、五条月子が指す方向を見た。
この二日間、五条月子が彼女のガイド役を務めていた。
もちろん、無料ではない。
一日1000元で、食事と宿泊も含む。
陰盟会はメンバーが取引をする場所に過ぎず、国家ではないため、共通の通貨もない。
そのため、メンバーたちが取引する際は、通常自分の習慣や国籍に合わせている。
メンバーの取引を容易にするため、懸賞区には世界中の主要銀行がある。
「あそこがハンターたちが競争する場所よ」月子が言った。「ランキング上のハンターが負けると、ランクから外されて、勝った人と位置が入れ替わるの」
それは雲を突き抜けるような建物で、88階もあった。
高層ビルの最上部には、目立つ「HERMIT」という単語が掲げられていた。
Hermit、隠者。
タロットカードの大アルカナ第10枚目、番号「9」。
陰盟会の英語名も、訳すとHermitになる。
彼女が最初に訪れた東京の地下市場でも、Hrmitという単語を見かけたが、それは陰盟会の所属だった。
ハンター区でのハンターたちの競争によるランキングの変動は、前回の銃神ランキング7位の死亡によるランキング変動とは異なる。
死亡した場合、そのハンターには競争する能力がなくなるため、ランキングは直接空席となり、後続の者が繰り上がる。
しかし、すべてのハンターが互いに競争できるわけではない。例えば催眠術師や変装師などのハンターは、実戦でしか評価できない。
一方、銃神ランキングは競争が容易で、腕前だけを見ればいい。
「情報を聞いたんだけど、今日はランキング入りのハンターが来るらしいわ。トップ20の大物が来る可能性もあるの」月子は興奮気味に言った。「お姉さん、これは千載一遇のチャンスよ。現場を見に行かない?」
ランキング入りのハンターはほとんどハンター区に来ない。せっかくランキングに名を連ねたのに、うっかり負けたらどうするか?
ハンター区に来るハンターは、基本的にトップ100に入っていない者たちだ。
一か八かの勝負に出て、たとえ入れなくても、大物の注目を集めることができるかもしれない。
IBIの上官が時々ここに来て、優秀な人材を選抜すると聞いている。
IBIに入れば話は別だ。これらの無名のハンターたちも正式な職員となり、給料ももらえる。