214 全能の大物!偽物は永遠に本物になれない【2更】

安神花は、とても希少な薬材だ。

南極大陸にしか生息していない。

少しでも気候が温暖になると、安神花は成長できなくなる。

このような厳しい条件のため、安神花は非常に貴重なものとなっている。

採取した後も、凍結して保存しなければならない。

しかし数が少なすぎるため、安神花の全ての効能は今日までまだ完全には解明されていない。

既知の効能については、他の薬材で代用できるものばかりだ。

代用品が見つかるなら、わざわざ大変な思いをして安神花を探す人もいなくなる。

そうなると、安神花はますます希少になっていく。

これを聞いて、女性は眉をしかめた。

「お嬢様、ご心配なく」中年の男性は微笑んだ。「今日の競技の賞品は安神花です。お嬢様の射撃の腕前なら、一位は確実でしょう」

競技に参加する神射手の中で一位を獲得すれば、陰盟会から賞品が与えられる。

女性は金色の長い髪をかき上げ、傲慢に言った。「当然よ。あの先輩に伝えて、今夜には安神花を手に入れて会いに行くって」

二人はそれ以上会話を続けなかった。

五条月子は女性を一瞥し、どこかで見たことがあると感じた。

数秒後、彼女はようやく大スクリーンに写真が映し出されていたリタ・ベヴィンだと思い出した。

ベイウェン家族はO大陸の大家族の一つで、国際的に有名な財閥ほどの知名度はなく、ローラン家族と比べるべくもないが、その実力は侮れないものだった。

ベイウェン家族は何度か帝都に人を派遣していたので、月子も知っていた。

ただ、彼女はベイウェン家族のメンバーについてはあまり詳しくなかった。

しばらくして、エレベーターは67階で停止した。

一行が出ていくと、開いていたドアが再び閉まった。

勝山子衿は視線を落とした。

彼女はまだ最も隅の方に寄りかかり、顔を少し上げ、無表情だった。

「うわっ!」月子はようやく声を出し、興奮を抑えようと努めた。「ベイウェン家族は本当に第一毒薬師を見つけたの?聞いた感じ、その大物はこの島にいるみたいね?」

第一毒薬師!

第一、第一、地球上にたった一人、誰も超えられない存在。

月子は第一毒薬師がきっと醜い老人だろうと思っていたが、それでも強者に憧れる気持ちは変わらなかった。

島に来て二ヶ月、彼女はランキング上位20位以内のハンターに一度も会ったことがなかった。