252 大物はいつも謎めいている、松本夫人の顔が青ざめた【3更】

「どうだ?」

松本唯楓は答えなかった。

松本夫人も焦らず、お茶を一杯注ぎ、ゆっくりと飲んだ。

唯楓にとって、体が最も重要だった。

特に、彼にはまだ妹の松本雨香の面倒を見なければならなかった。

松本家の最も古い歴史は奈良時代にまで遡ることができ、千年以上の間に女性の家長は二人しか出ていなかった。

雨香も優秀ではあったが、松本夫人は彼女を全く眼中に入れていなかった。

夫人から見れば、雨香はいずれ嫁ぐ身だった。

嫁いだ後、どれほど優秀でも、彼女のように家庭の主婦になるだけだ。

しかし五分待っても、松本夫人は唯楓からの返事を得られなかった。

彼女は我慢できなくなり、茶碗を強く置いた。「唯楓、まだ考えているの?」

「考えているわけではありません」唯楓は最後の一文字を書き終え、筆を置いてから淡々と口を開いた。「同意しないだけです」

「同意しない?」松本夫人は少し驚き、すぐに表情を曇らせた。「あなたが後継者争いに参加するのは、夢野家で治療を受けるためじゃないの?なぜ同意しないの?」

唯楓はまた数回咳をし、微笑んだ。「人は死んでもいい、しかし気骨を失ってはならない。五叔母さん、あなたは恥知らずかもしれませんが、他の人があなたと同じだとは限りません」

一言で、松本夫人の顔は一瞬で青ざめた。

彼女は胸が激しく上下し、冷笑した。「もう死にかけているのに、何の気骨だ。いいわ、同意しないなら、あなたが審査の終わる日まで持つかどうか見てみましょう」

松本夫人はもう一秒も留まりたくなく、立ち上がって歩き出した。

一歩歩いたところで、唯楓に呼び止められた。

松本夫人は足を止めたが、振り返らなかった。「どうしたの?考え直したの?」

「この茶器セットは五叔母さんが使ったので、私はもう使いません」唯楓は新しい宣紙を取り出し、穏やかな口調で言った。「どうぞお持ち帰りください」

松本夫人は急に振り返り、ひどく腹を立てた。

彼女は戻って石のテーブルの上の茶器セットを取り、足早に立ち去った。

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ISC訓練キャンプ。

昼食後。

飛鳥夢子はソファに横になり、満腹でゲップをしながら、とても気楽そうだった。