本来なら学術系の競技大会は、あまり多くの人の注目を集めるものではなかった。
結局のところ、ほとんどの人は国際数学オリンピックIMOの開催時期さえ知らないのだから。
しかし海外サイトの挑発と総合テレビ局が制作した番組のおかげで、ISCの人気は空前の高まりを見せていた。
特に世界ランキング1位の存在は、あまりにも謎に包まれていたため、あらゆるSNSでこの1位が一体誰なのかという議論が巻き起こっていた。
雷のような勢いで他国の選手たちを完全に圧倒し、しかも気軽に参加しているだけのように見える。
勝山子衿がそう認めた途端、配信ルームは当然ながら大騒ぎとなった。
どの配信ルームにも意図的に話題を操作するアンチがいるものだ。
暇を持て余した一部のキーボードウォリアー以外は、ほとんどが同じジャンルの競合配信者から送り込まれた人たちだった。
子衿が登録した「チョコレートムース」というアカウントは、これまでの配信回数はわずか15回で、一度も顔出しをしたことがなかった。
それでも人気は高い水準を保っていた。
学術系の配信は元々視聴者が少なく、大多数の人はゲーム、歌、物販配信を見ていた。
シャークライブプラットフォームの学術配信は、全部で9つしかなかった。
最初に話題を操作し始めたのは、その中の「魔女シャオシャオ」という配信者が送り込んだ人たちだった。
子衿は長い間配信をしていなかったため、古参ファン以外に、新しく配信を見に来たネットユーザーの方が多かった。
彼女が世界ランキング1位だと認めるのを聞いて、みんな複雑な気持ちになっていた。
【まあ、あなたは学習配信者だから人気を得るために自慢するのは分かるけど、ISCに関しては無理があるよ。】
【何か学べると思ったのに、自慢話をする人だったとは。もう行くわ、魔女シャオシャオの配信を見に行こう。】
これを見て、ずっと見守ってきた古参ファンたちは黙っていられなくなった。
【大神、この馬鹿どもに見せてやれ、顔を腫れ上がらせてやれ。】
【言っておくけど、世界1位を取れるとしたら、大神しかいないんだからな。】
彼らは子衿の配信を見続けてきて、彼女がほぼ全能だということを知っていた。
「うん、ちょっと待って」子衿は手のペンを回しながら言った。「まず今日の課題を終わらせよう」