学生たちはまだ話し続けていた。男子も女子もいる。
「勝山神の写真、手に入れた?俺が盗撮しようとしたら捕まって、証拠品も没収されちゃったよ」
「いや、俺も持ってないよ。自分で簡単なイラスト描いて、机の前に飾って、毎日マッチを一本灯して、お香代わりにしてるんだ」
「……さすがだな」
「試験前に勝山神にお参りすれば、絶対20点はアップするぞ!」
学生たちも困っていた。これも仕方のないことだった。
19組の江口燃の後ろについている子分たちが凶悪で、背中すら撮らせてくれない。
仕方なくこんな形でお参りするしかなかった。
鈴木曼華はようやく聞き取れた。
勝山神?
青葉の学生たちが勝山月咲をそう呼んでいるとは思わなかった。
試験前にお参りして成績を上げようとまでしているなんて。
月咲の写真がないって?
彼女が提供できるのに。
これは月咲が学生たちに人気があるという証拠だ。彼女はそれを喜んでいた。
そこで、曼華は「証拠品を没収された」と言っていた男子生徒を呼び止めた。「勝山月咲の写真が欲しいの?私が一枚あげられるわよ」
男子生徒は友達と火鍋を食べに行く途中で、こんな風に止められて少しイライラしていた。口調もきつくなった。「勝山月咲の写真なんて何に使うんですか?僕は彼女に興味ないし、羽田さんの写真ならまだしも」
彼は修斗羽のような、彼を守ってくれる、彼を甘やかしてくれるタイプが好きだったが、勇気がなかった。
曼華の笑顔が凍りついた。顔が少し赤くなった。「勝山神を拝むんじゃないの?」
「そうですよ、勝山神を拝むんです」男子生徒はさらにイライラした。「でも勝山月咲と何の関係があるんですか?」
曼華も腹が立ってきたが、教養が後輩たちと争うべきではないと教えていた。何とか不快感を抑えて「あなたたち、どうしたの?勝山月咲を拝みたいのに、彼女の写真がないなら、私が親切に提供しようとしているのに、その態度は何?」
「頭おかしいんですか?」男子生徒は曼華がめちゃくちゃなことを言っていると感じた。「勝山神は勝山子衿ですよ。二人とも勝山姓だからって、入れ替えられると思ってるんですか?」
そう言うと、彼は友達を引っ張って急いで立ち去った。もう曼華に関わりたくなかった。
一方、曼華は雷に打たれたかのように、その場に立ち尽くし、全く反応できなかった。