349 一緒に年越し、また正体がバレる日【2更】_3

彼女の白い顔には薄い赤みがさしていた。花火の光のせいかどうかはわからない。

「ん?」伊藤雲深は言った、「坊や、まさか恥ずかしがってるんじゃないだろうな?」

その言葉を聞いて、勝山子衿は目を上げ、ゆっくりと袖をまくり上げた。

そして、雲深は追い出されてしまった。

「……」

雲深はドアの外に寄りかかり、まだ根岸老爺に追いかけられて叩かれている根岸朝を見て、ふと笑みを浮かべた。

この子は大人になったな、性別意識が強すぎる。確かに彼も少し自重しなければ。

午前2時。

橘眠兮は徹夜すると言っていたが、たくさんのビールを飲んだせいで、しかも內勁を封じた状態だったため、そのまま眠りこけてしまった。

根岸老爺はとっくに休んでおり、リビングにはいなかった。

根岸亦は根岸朝の目の前で堂々と眠りこけた眠兮を抱き上げ、寝室へと運んでいった。

朝は酒が回って、怒りのあまり気を失ってしまった。

最後にリビングには、雲深と亦の二人だけが残った。

雲深はお酒を飲まない。必要な場合を除いて、一滴も口にしない。

彼は自分が不明瞭な状態になることを許さなかった。

「随分と隠し通したな」雲深はソファに座り、「老爺は知らないんだろう?」

亦は眉間を押さえた。「知らない」

「そうだろうな」雲深はまつげを下げ、低く笑った、「でなければ、杖で叩き出されているところだ」

亦は「……」

彼は今日、眠兮と一言も話せなかった。

考えた末、亦は携帯を差し出した。

画面には前回の眠兮とのチャットの履歴が表示されていた。

雲深は首を傾げ、最初から最後まで読んだ。

沈黙が流れた。

しばらくして、彼は口を開いた。「私は本当に——」

亦は顔を上げた。「本当に何?」

「本当に情商がマイナスのお前に——」雲深は淡々と言った、「どうやって女の子を口説くかなんて相談するべきじゃなかった」

「まだ何も学ばなかったのが幸いだ。さもなければ、女の子を怖がらせて逃げられていただろう」

亦は「……」

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9日後。

子衿は雲井和月に付き添って『青春202』のオーディション会場に行った。

和月は身長176cmあり、シークレットブーツを履いていたので、他の男子の中でも決して低くはなかった。

誰も彼女が女性だとは疑わなかった。

子衿はマスクをして、和月のアシスタント役を務めていた。