この電話は天行エンターテイメント本社にかけるものだった。
今年、天行エンターテイメントの勢いは初光メディアよりも強かった。それは「青春101」というグループの上位メンバーが全員天行エンターテイメント所属で、さらに葉山希子という人気女性トップスターがいるからだった。
しかし実際には、初光メディアは数年前から市場を国際的な映画界や音楽界に広げていたからだ。加藤真雨のような国際的な女優は、もはや国内では活動していなかった。
庄司曜之というトップスター俳優も、初光メディアに加入してから国際的な活動を始めていた。
影響力で言えば、天行エンターテイメントはまだ初光メディアに及ばなかった。
昨年、天行エンターテイメントは時代メディアという国際的なエンターテイメント企業と手を組み、初光メディアと競おうとしていた。
だから天行エンターテイメントはこの「青春202」をとても重視していた。彼らは人為的にスターを作り出し、少なくとも一人の男性トップスターを生み出したかった。曜之を超えるとまではいかなくても、少なくとも肩を並べるくらいには。
「内山PDはどうしたの?」田中梨花は眉をひそめた。「なぜ彼が口を出すの?」
「梨さん、確認しましたが、初光メディアから電話があったそうです」電話の向こうの助手が言った。「コンテストに不公平な行為があると言って、対処しなければ資金を引き上げると言っています」
梨花は嘲笑した。「じゃあ引き上げればいいじゃない、誰が怖がるの?私たちだって投資してるでしょ?」
「で、でも梨さん...初光メディアは6億投資してるんです」助手は汗を拭いた。「私たちはたった2億で、最近会社の資金も厳しいですし、初光メディアが資金を引き上げたら...」
梨花の顔は青ざめ、怒りに任せて言い放った。「はっきり言うけど、初光メディアのような会社はいずれ潰れるわ」
大量視聴時代では、誰がまだそんな古い規則に縛られるだろうか?
少し話題を作るだけで、実力すら必要とせず、大金を稼ぐことができる。
初光メディアはまだ俳優と歌手だけを育てるという旗印を掲げているが、梨花は最終的に彼らの天行エンターテイメントに取って代わられると確信していた。
梨花は怒りが収まらず、考えた末、別の番号に電話をかけた。
どうあっても、彼女は雲井和月の出場を阻止しようとしていた。
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