357 神仙コンビ、芸能界大爆発【3更】

内山PDの手が震え、保温マグカップが床に落ちて砕けた。

彼の表情も凍りついた。幻聴かと思い、「誰だって？誰からの電話？」と聞き返した。

秦野瑜子は芸能界では異質な存在だった。彼女には所属事務所もマネージャーもいなかった。

帰国直後に全国三十都市で行ったツアーは初光メディアが会場手配を手伝っただけだった。

それ以降、瑜子のすべての活動は、彼女が気に入ったものを自分で直接交渉していた。

瑜子はとても怠け者で、暇があれば何もせず、ファンたちには「自分でエサを探しなさい、いつも私に活動を求めないで」と言っていた。

この態度は芸能界では消極的と見なされていた。

人気というものは永遠ではない。

しかし瑜子の体質は不思議で、彼女はずっと人気を保ち続けていた。

そんな状態でも、瑜子のファンは減るどころか増え続けていた。

彼女はゲームの腕前が非常に優れていて、気分が良ければシャークストリーミングプラットフォームでゲーム配信を行い、ファンと一緒にプレイし、時にはファンのためにアイテム購入の課金までしてあげていた。

最後に公の場に姿を現してから丸三ヶ月が経っていたが、それでも多くのプロジェクトが彼女からの連絡を待っていた。

彼女を待つために、多くの制作側が喜んでプロジェクトのスケジュールを延期するほどだった。

瑜子のこの習慣は、内山PDや監督など業界人はよく知っていた。

だから彼らは瑜子が来るとは期待していなかった。

しかし今は？！

内山PDはすぐに飛び上がり、再び監督の手から電話を奪い取った。

彼の声は震えて調子が狂っていた。「もしもし、こんにちは」

「こんにちは、秦野瑜子です」電話の向こうから、女性の声が怠惰な笑いを含んでいた。「男性アイドルグループの発起人が足りないんじゃないですか？ちょうど暇だし、あるバカを怒らせたいと思って。私でいいですか？」

「もちろんです！ぜひお願いします！」内山PDは狂喜を何とか抑えながら、「あなたが来てくれるなら、何人でもバカを怒らせていいですよ、私たちがお手伝いします！」

瑜子：「……そこまでする必要はないですけど」

彼女は秦野宴人との間でお互いに皮肉を言い合うのが習慣になっていて、口では優位に立ちたいだけで、誰も本当に負けを認めたくなかった。