「ここは賭け事をする場所よ」五条月子は頭を掻きながら言った。「つまり、他の人と一緒に何かを占って、誰が当たって誰が外れたかを見るの。当たった人はたくさんの宝物を獲得できるわ。私はここでお金を騙し取っているのよ」
騙すと言っても、彼女の占いは全て本物だった。この場所に詐欺師が多すぎて、毎日彼女にお金を運んでくるのだから仕方ない。
勝山子衿は頷いた。「中に入って見てみましょう」
中には十数個の個室があり、入口には大きなスクリーンがあって、様々な画像が映し出されていた。
翡翠や、コンパス、そして多くの骨董品があった。
「これが私が言っていた宝物よ」月子は説明した。「偽物もあるけど、本物も多いわ。本物の方が多いかな」
子衿の瞳が一瞬止まった。
彼女は前に進み、指でスクリーンをスライドさせ、最終的に一つの貔貅の翡翠で止まった。
「あれ、お姉さん、これが気に入ったの?」月子が近づいてきた。「だったら、この椛谷という人と勝負することになるわよ」
「どんな人?」
「ただの老詐欺師よ。でも、少しは占いができるのかも。たぶん年齢のせいかしら、私よりもお金を騙し取るのが上手いわ」
風水の世界では、客は年配者を信頼する傾向がある。
月子のような本当の実力者を訪ねてくる人は少ないのだ。
「ええ、これが欲しいわ」子衿は物憂げな表情で言った。「行きましょう、中へ」
月子は彼女について右側の部屋へ向かった。
すぐに中の人に気づかれた。
「椛谷大師、お客様が来られました!」
テーブルに座っていた椛谷大師は声を聞いて、顔を上げた。
二人の若い女の子を見ると、とても軽蔑した様子で鼻を高くした。「また来たのか?まあ座りなさい」
まさに若気の至りで虎を恐れぬとはこのことだ。よくも彼に勝負を挑もうとするとは。
子衿は椛谷大師の向かいに座った。「何を占うの?」
「おや、そんなに偉そうか?」椛谷大師は髭をなでながら言った。「天上の事柄は最も占いにくいものだ。もちろん天気を占おう。最初の雨がいつ降るかを占ってみようじゃないか」
「お前が勝てば、あの貔貅の翡翠を持って行ってよい。だが負けたら、支払う代償は小さくないぞ」
子衿はまつげを下げ、淡々と言った。「では、占いましょう」