366 バレる、准教授!【1更】

佐々木明は今、物理部部長からの電話を受けて青葉に行ったという自分の決断が非常に賢明だったと感じていた。これで勝山子衿を彼らの物理学部に引き入れることができたのだから。

物理部部長への感謝の気持ちを表すため、佐々木明は痛み分けして育毛シャンプーを一本送った。

佐々木明は帝都大学の有名な教授で、門衛も皆彼を知っていたため、彼が自ら学生を連れてきたのを見て、すぐに通してくれた。

勝山月咲は違った。彼女は帝都大学の学生ではない。

今はちょうど冬休み期間で、学校は厳しく管理していた。

先日、生物学部では数百万円相当の交配動物が何匹か盗まれたため、帝都大学の学生や教職員以外は入構できなくなっていた。

月咲は内山教授から臨時身分証をもらっていたが、それでも一連の検査を受ける必要があり、脇門の入り口で列に並ぶしかなかった。

本谷茹子はすぐに運転手を帰さず、帝都大学の入口に視線を落とし、思わず眉をひそめた。

彼女はまるで勝山家のあの躾のなっていない養女を見たような気がした。

この考えが浮かんだ瞬間、茹子はそれを否定した。

帝都大学?誰でも入れるような場所ではない。

月咲が入った後、茹子はようやく運転手に指示した。「帰りましょう」

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帝都大学内。

佐々木明は子衿を物理学部の実験棟の前に連れてきて、立ち止まった。「勝山さん、私は教授グループのところへ身分証を取りに行きますから、あなたはこの辺りを散歩していてください。あまり遠くへ行かないでくださいね」

子衿はうなずいた。

彼女は顔を上げ、物理学部のこの建物を見渡した。

最終的に確認したのは、物理学部がとても裕福だということだった。

先日、佐々木明は彼女に自慢していた。卒業生の一人が卒業後に起業に成功し、学部に10億円を寄付したのだと。

そのとき、背後から不確かな声が聞こえてきた。「勝山神?」

子衿は振り返った。

「本当に勝山神だ!」男子学生は興奮していた。「覚えているかどうかわかりませんが、僕は奈海のクラスの学級委員長です」

子衿は眉を上げた。「ああ、覚えてる。あなたはペンを線香代わりに私を拝んだことがある」

「……」

「勝山神、どうしてここに?」学級委員長はこのあまりにも恥ずかしい話題を避けることにした。「奈海はノートン大学でうまくやってる?」