370 助演、初光メディアの社長【2更】

「わかりました。」小林清嘉はあまり気にしていない様子で、笑みを浮かべた。「何か隠れた古医がいるのかもしれないわね。それって普通のことじゃない?私の研究はまだ完成していないから、先に行くわ。」

彼女は小林執事に軽く頷いて、その場を去った。

小林執事は清嘉の背中を見つめ、ため息をついた。

清嘉さんはどこも素晴らしいのだが、唯一残念なのは、彼女が小林錦雲の実の娘ではないということだ。

それに、彼女の母親はあまりにも俗物で、貪欲で、人に好かれない。唯一の取り柄は容姿が悪くないことだけだ。

清嘉がいなければ、一般人が小林家に嫁ぐことなどできただろうか?

考えるまでもない。

清嘉は気にしなくていいと言ったが、小林執事はこの件をとても重要だと感じていた。

古医学界の外に強力な古医が現れたということは、重点的に注目すべきことだ。

彼は少し考えた後、やはり数人の家臣を呼び寄せた。

**

翌日。

正午。

勝山子衿は本谷茹子に挨拶を済ませた後、中央庭園のレストランへ向かった。

彼女の予想に反して、井上紅貞は農村の女性でも、普通の市民でもなかった。

女性は贅沢な服装をしており、身につけているものはすべて高級ブランド品だった。

気品は名門の奥様には及ばないものの、決して悪くはなかった。

なぜか、子衿はほっとした。

彼女は紅貞が自分にしがみついて、吸血鬼のように搾取しようとするのではないかと恐れていたのだ。

しかし子衿は紅貞をどう呼べばいいのかわからず、口を開いた。「あなた...」

「いいわよ、好きに呼んで。呼ばなくてもいいけど。」紅貞は子衿をしばらく観察した後、突然笑みを浮かべた。「見たところ、あの時あなたを勝山家に入れたのは、正しい決断だったようね。」

子衿の心臓が激しく鼓動した。「どういう意味ですか?」

「何、不満?」紅貞は言った。「ほら、あなたは今や勝山家のお嬢様で、もうすぐ原田家の嫡子と婚約するのよ。私と一緒にいたら、こんな良い待遇は得られなかったでしょう?」

「私はこうして良い服を着ているけど、毎月の資産はマイナスよ。あなたを養う余裕なんてないわ。」

子衿の指が強く握りしめられた。

もちろんそんなことはあり得ない。

でも彼女の人生は、盗んだものだった。