第24章 バランスを崩す

彼女はゆっくりと両手を伸ばし、斎藤遥の両肩を押さえて、彼との距離を少し開けながら、低い声で言った。「ごめんなさい、まだ心の準備ができていないの」かすれた声は色気に満ちていて、彼女自身も聞いていて顔が赤くなるほどだった。

遥は彼女を無理強いすることなく、ただ低い声で言った。「俺のベッドは十分広いから、自分を繭のように包み込まないでくれ」そう言いながら、救急箱を片付けて、振り返って棚にしまった。

若菜は赤い顔で彼を睨みつけると、ベッドに上がり、自分の布団を引き上げた。もう一団に包まれることはなかったが、それでもベッドの三分の一にも満たない場所しか占めず、彼の布団との間には少なくとも一尺ほどの距離を空けていた！

朝起きると、遥はすでに出かけていたが、親切にもお手伝いさんが買ってきた朝食を彼女のために一人分残していた。

これまで遅刻を恐れて、いつも朝食を買って車を運転しながら食べていた若菜は、思わず恐縮してしまった。もし愛情とは関係なくても、おそらく、二人の寂しい人間が一緒にいれば、お互いに温め合うことができるのだろう！二人の生活は、一人よりも確かに良いのかもしれない！

朝食を食べ終え、部屋を片付けると、部屋中に差し込む陽の光を浴びながら、彼女は気持ちよく大きく伸びをした——この温かくて怠惰な感覚を好きになりつつあることに気づいた！

これに若菜は少し驚いた。彼女はいつも自分が計画の中で生きていて止まることができないタイプだと思っていた。女性が好きな韓国ドラマやショッピングさえも、彼女にとっては時間の無駄だと思っていた！

友達付き合いも同様で、長年、彼女には飛雨という一人の友達しかいなかった。それは友達とおしゃべりすることも時間の無駄だと思っていたからで、時間が経つにつれて、友達がいたとしても、彼女の冷淡さのせいで徐々に疎遠になっていった！彼女自身は特に不便を感じず、これでいいと思っていた。すべての時間が完全に自分のものであり、それを一つ一つの仕事で埋めていくことができた。

今思い返してみると、自己の生活は確かに面白みがなく退屈なものだった。仕事以外は何もなかった！今は仕事がなくなり、何をすればいいのか分からなくなっていた！

以前、高橋尚誠もこう言っていたことを思い出した。「若菜、学校にも行かず仕事もしなかったら、君が何をするのか想像できないよ」