第114章 メール事件(1)

しかし、木村飛雄はまさに度量が大きく、熊谷麗子に嫌がらせをするどころか、変わらぬ信頼と権限委譲を続け、与えるべき権利や福利厚生も一切欠かさなかった!さらに、あの男が四葉とデートする時には、進んで場を空けてやるほどだった!この姿勢は、かつての正妻に匹敵するものだった!

一方、熊谷四葉さんの方はそれほど賢くなく、男との関係が盛り上がっている最中だということを盾に、一時的に会社で華々しく振る舞っていた。

もし木村飛雄が関係を持たれることを望んだのなら、人々は「この女性は現実的で、取捨選択を心得ている」と評価するだろう。しかし麗子が関係を持たれた場合、人々は「この女はバカすぎる、関係を持たれて当然だ」としか思わないだろう。そして神宮寺社長への評価も一気に落ちることになる。

以前は少なくとも目の利く、趣味の良い男性だと思われていた。誰もが美しいものを独占したいと思うものだ。だから飛雄を手に入れ、佐藤若菜に目をつけるのは、男たちが称賛するに値することだった!裏では、男たちが噂話をする時、「地位と権力と実力があるからこそだよな!」と言い添えるほどだった。

ところが今回は四葉を手に入れたことで、人々を驚かせると同時に、社長の評判はアンジェ社内で最低まで落ちてしまった。

そんな中、麗子は飛雄からの直接の呼び出しを聞いて、天にも昇る気持ちだった……

そして彼女の体型とまったく不釣り合いな幼い声は、聞いた人の鳥肌が立つほどだった。「木村社長が降りてきたばかりなのに、もう私を呼ぶの?何かそんなに急ぎの用事?木村社長は知ってるの?」

この四葉の脳みそは、本当に飛雄が扱うには不十分だった。彼女がここで大声で騒ぎ立て、まるで上層部が彼女を呼んだのは彼女を寵愛するためであるかのように、皆に知らせようとしているのを見て、飛雄は心の中でため息をつき、彼女の無知さに嘆息した。

その場で少し体を横に向け、軽く笑いながら彼女に言った。「私も神宮寺社長があなたに何の用があるのか聞いてみたんですよ。でも彼は『急いで上がってくるように、緊急の用事だ』とだけ言っていました。早く行ってください!」