第173章 紅顔は知己にあらず(3)

「ふん、聞きたくないなら、もう言わないわ！」

「私が斎藤氏に入社したのは、一つには斎藤氏というプラットフォームに魅力を感じたから、もう一つは斎藤部長のデザインの才能を尊敬していたからよ。今やプラットフォームはもはや昔のものではなくなり、あなたも斎藤氏を離れた。だから私も、もう未練はないわ。私も斎藤氏を去るつもりよ、おそらく自分でデザイン事務所を開くわ。本当は、あなたもこれに興味があるかと思って！だから一緒にやらないかと誘おうと思ったの！」

ここまで言って、彼女は少し言葉を詰まらせた。斎藤遥の表情が相変わらず淡々としていて、応答する様子も、興味を示す様子も、かつて彼女のクリエイティブな企画書を見た時のように目を輝かせる興奮もないのを見て、失望と不信と悔しさが一気に押し寄せてきた。意地になるように言った。「今となっては、私の考えが余計だったようね。でも良いわ、とにかくさよならを言いに来たの」

この男は、本当に冷酷な心の持ち主だ。二人の関係がもはや単純ではなくなったと気づくと、すぐに身を引き、一切の未練を見せない。まるで過去のすべては、自分一人の妄想だったかのように。そして彼は、もはやあの芸術のオーラに包まれた男ではなくなっていた——結婚が、彼を平凡で世俗的な男に変えてしまったのだ！

そして自分は、相変わらず夢に執着し、感情に対して奔放な明石葵のままだ！

だから、これでいいのだ。これこそが大人としてあるべき姿勢なのだから！

「君の退社は斎藤氏にとって損失だ。だが君の選択は理解できる。かつての上司として、君に幸運を祈るよ」遥は淡々と礼儀正しい言葉を述べた。彼女に対する態度は、普通の同僚と何ら変わりなかった！いや、むしろより疎遠に、より冷淡になっていた。

「さようなら！」葵は立ち上がり、彼の映画スターのような顔を見つめ、少し名残惜しそうにした。

「道中ご無事で」遥も立ち上がり、彼女の手を軽く握り、目には誠実な祝福の気持ちが浮かんでいた。

「ありがとう！」葵は静かに手を引き、彼に微笑みかけ、さっぱりとした足取りで外へ向かった！彼の傍を通り過ぎる時、揺れるロングドレスが美しい弧を描き、彼女の去っていく姿とともに、美しい過去の一ページとなった。

二人の間に、このような社交辞令だけが残るなら、なくても構わない！