第223章 人生どこでも出会いがある(1)

「行こうか、他に何か食べたいものはある？よかったら家に帰って作ってあげようか？」斎藤遥は優しく彼女を見つめた。

「家に帰りたい！」佐藤若菜は静かに立ち上がり、遥の手を引いて、自分の手を彼のコートのポケットに入れ、温かく笑いながら言った。

「いいよ、帰ろう！」遥は彼女をしっかりと抱き寄せ、この賑やかで温かい小さな通りを出て、ゆっくりと帰路についた。

ここは、ただ思い出の中にだけ存在する場所。

今は、彼女のものでもなく、ましてや彼のものでもない。

過去には、区切りをつけるべき時がある。おそらく、今回からそうすべきなのだろう！

「遥、高橋尚誠に会いに行きたいの」若菜は遥をじっと見つめ、瞳には清らかさと率直さが宿っていた。

「若菜、もし俺が反対したら、諦めてくれるか？」遥は彼女をきつく抱きしめ、低い声には少し苦さが混じっていた。

若菜は彼の胸に寄り添い、細長い手のひらを伸ばして彼の顔を優しく撫で、小さな声で言った。「私はあなたの妻よ、それは永遠に変わらないわ！」

遥はただ彼女をきつく抱きしめ、何も言わなかった。彼は彼女と一緒に狂い、騒ぎ、思い出に浸ることはできても、彼女があの男に会いに行くことを許すことはできなかった！

彼は度量が足りないのか？彼は未熟なのか？他の男性ならどう対処するのか分からないが、彼は心から快く承諾することができなかった——それに、あの男と比べて、彼女の心の中で、彼の勝算はどれほどあるのだろう？この点については、彼は決して自信がなかった！

彼が利己的だとしても、彼はただ彼女と一緒にいたい、一生涯！彼はこの一生の中で、何か変化が起きることを望んでいなかった！

だから、彼は承諾したくなかった！

「若菜、今日は疲れたから、明日また話そうか？」遥は静かに言った。

「いいわ」若菜は軽く答えた。彼に時間が必要なら、与えればいい！

今になって、二人を同じ天秤に乗せて選ぶとき、彼女は初めて本当に気づいた：自分の心の中で、尚誠への感情はとうに手放していたこと。ずっと気にかけていたのは、手放したくなかった青春の思い出と、騙された痛み——自分が深く愛していたこと、まだ感情があること、まだ気にかけていることを証明するために、自分を痛めつけ続けていたのだ！

実際、遥の腕の中にいるとき、もう過去を思い出すことはなかった！