第250章 生命の軽さを担えない(4)

この女性は、相変わらず聡明で、相変わらず自己中心的だった。彼が何を言いたいのか分かっていながら、早々に言葉で道を塞いでいた——彼女の今の生活に、彼の介入は必要ないのだと!

「少し外を歩きましょうか」高橋尚誠は彼女を深く見つめ、片手に花を抱え、もう片方の手で車椅子を支えながら、ゆっくりと立ち上がった。

「尚誠?」佐藤若菜は目を見開き、驚いて彼を見つめた。

「少し弱っているだけで、人体の正常な機能は損なわれていないんだ。逃げすぎていた。そろそろ自分に少しプレッシャーをかけるべきだな」尚誠の口元に苦笑いが浮かんだが、目には決意の固さが宿っていた。

「花を生けるから、ゆっくり動いてね!」若菜は手を伸ばして花を受け取り、近くの花瓶に生けた。振り返ると、尚誠はすでにしっかりと立っていた。

痩せこけた彼は病院の服を着て、一層青白く虚弱に見え、見る者の胸を痛めた。しかし、頑固に背筋を伸ばす姿は感動的だった——これは、本当に良いことだ!

「こんな姿の貴方、素敵よ——」若菜は小さな声で言った。

「そうだね、とっくにこうすべきだった」尚誠は彼女をじっと見つめたが、頭の中の昔の彼女の姿と今の彼女を重ね合わせることができなかった。

甘やかされわがままな少女と、成熟して物静かな若い妻は、明らかに別人のようだった。なのになぜ、彼は手放すことも忘れることもできないのか。なぜ、まだ深く愛しているのか。

「若菜、君に叱られて目が覚めた。ありがとう。命は実は自分だけのものじゃない。生きることも一種の責任なんだ。母のために、君のために」二人は花園を並んで歩きながら、尚誠の声は澄んでいて悟りを得たようだった。

「実は私が言いたいのは、生きるのは自分のためであって、他の誰のためでもないということよ」若菜は顔を上げて彼を見た。彼が同意しない表情をしているのを見て、また頭を下げて軽く笑いながら続けた。「でも、それは重要じゃないわ。生きることを選ぶということは、責任を負い、向き合うことを選ぶということ。こんな尚誠を見られて嬉しいわ」

「体調が良くなったら、国に帰って母に会いたいと思っている。それから病院の生物研究実験に参加するつもりだ。これだけ長く学んできたんだから、限られた命で、社会に何か残すべきだと思う。母も天国で喜んでくれると思う」尚誠はゆっくりと今後の計画を語った。