第276章 今回は彼が主導権を握る(2)

本当に空気が読めないわね!

「私?私が年長者として彼女に少し言ったくらいで言えないの?彼女は何をしているの、お腹を大きくして離婚騒ぎを起こして、今度は私の孫を外国で産もうとしているのよ!」葉山淑恵は佐藤若菜のことを考えると腹が立ち、もちろん自分の態度を反省するつもりはなかった。

「子供たちのことにはあまり口を出すな。今どき外国で子供を産みたくても産めない人がどれだけいると思う?孫が二重国籍を持つことが何か悪いのか?まだ孫を抱きたいんだろう?抱きたいなら孫のお母さんに優しくしろよ!そのうち連れて帰ってこなくなったらどうするんだ!」斎藤蓮のこの言葉は急所を突いたようで、淑恵はすぐに黙り込んだ。

ただ斎藤遥を見て言った。「遥、出産の時には、私は孫を見に行くからね!」

「行きたければ誰も止められないでしょ!」遥は眉をひそめ、そう言い捨てて立ち去った。家に帰ったのか、ホテルに行ったのかは分からない。

「見てよ、この子ったら、女房ができたら母親を忘れちゃって!まだ彼の奥さんでもないのに!」淑恵は蓮に向かって叫んだ。

「もういいから、子供たちのことには口を出さないほうがいい。もしかしたらまだやり直せる可能性だってあるんだ。あなたがこんな調子じゃ、チャンスなんてないだろう?それに、つい最近『契約事件』があったばかりなんだから、公の場での発言には気をつけろよ!」蓮は彼女を見て頭を振り、斎藤延彦夫妻に頷いて挨拶すると、彼女を引っ張って立ち去った。

延彦と橘美織は互いに無力感を抱きながら顔を見合わせ、この状況にどうすることもできなかった。

ホテル。

「誰?」若菜はちょうどお風呂から上がったところで、部屋着を着て高橋健二が午後に持ってきた書類を見ていると、ノックの音が聞こえた。

「俺だ。」ドアの外から深みのある低い声が聞こえた——遥だった。

「今行くわ!」若菜がドアを開けると、遥は昼間の正装から着替えて、薄いグレーのポロシャツと色あせたホワイトジーンズを着ていた。スーツとワイシャツを着ていた彼と比べると、より自然で爽やかに見え、特に目を引いた。

遥は彼女について部屋に入り、彼女がまだパソコンを開いているのを見て頭を振った。「まだ仕事してるの?」