第291章 彼女の鋭さと彼の度量(4)

「民間企業の運営管理においては、外資系企業のように多くの制約や規則に縛られることがなく、そのため様々な人材がビジネスの舞台で思う存分に能力を発揮できます。キャリアアップの道筋も外資系企業の倍以上速いと言えるでしょう」

「ですから人材競争において、外資系企業と民間企業はそれぞれ異なる強みを持っていると言えます。皆さんもこの点をはっきりと認識されていると思いますので、司会者の言われた『プレッシャー』や『自信』というのは、冗談だったのではないでしょうか!」

司会者は二社の人事責任者がこのような因縁があるとは思っていなかった。そこで話題を変え、佐藤若菜に向かって言った。「諺にもあるように、名師から高弟が生まれるものです。斉藤監督がこれほど優秀なら、師匠である早川部長はさぞかし素晴らしい方なのでしょうね!早川部長、学生の皆さんに、外資系企業と民間企業の人材競争についてのお考えをお聞かせいただけませんか?」

司会者の一言は、琴乃を褒めつつ、若菜も褒めるものだった。もし若菜の発言が見劣りするようなら、すぐに低く見られることになる——まさに賢くも鋭い質問だ!さすが司会の仕事をしている人は頭の回転が速い!

若菜は司会者を軽く一瞥し、意に介さないように軽く微笑んだ後、視線を琴乃に向け、淡々と言った。「師匠とは、とんでもない。ただの偶然で、斉藤監督と専門的な交流をさせていただいただけです」

そう言うと、視線をゆっくりと移し、再び司会者と客席の方を見て、落ち着いた様子で言った。「人材争奪戦というのは、大げさなことを言う人たちが投げかけるトピック性のある言葉に過ぎません。考えてみてください。成熟したプロフェッショナルが企業を選ぶとき、自分の管理スタイルや行動スタイルと企業文化との相性を考慮せず、ただそれが外資系か民間企業かだけを見るでしょうか?プロフェッショナルでさえこのような成熟した就職観を持っているのなら、企業側にはこの点を重視せず、盲目的に人材争奪をする理由があるでしょうか?もっと適切に言えば、人材競争は企業間の競争ではなく、企業自身がいかに自社に合った人材を見つけ、引き付けるかという問題です。つまり、企業自身との競争なのです!」