第342章 追い詰められる(3)

斎藤氏は今回、どの程度まで阻止できるか、本当に予測しがたい。結局のところ、斉藤空也は斎藤氏のことをあまりにも熟知しており、繰り出す一手一手が急所を突くものばかりだ。おまけに陰湿な手段を常用する神宮寺天誠までいるのだから!

「ああ、もう佐藤隊長に連絡しておいた。調査する必要もない、適当な罪名をでっち上げて、まず連行だ!罪が成立しなくても釈放すればいい、それだけで十分な打撃になる!」ここまで言うと、斎藤遥の目に宿った冷酷さが、彼のいつもの穏やかな雰囲気を壊していた。

彼はもはや昔の遥ではない。ビジネス界での絶え間ない争いの中で、手段を選ばない人間へと変わってしまったのだ!

彼の陰鬱な瞳を見つめながら、田中大樹は軽く口角を上げた。ビジネスの世界では、技術や能力よりも、冷酷さこそが必須条件なのだ!

今や遥は、立派な対抗相手と呼べるようになった!幸い、彼らは協力関係にある。そうでなければ、おそらく夜も眠れないほどだっただろう!

「うん、準備は多いほど勝算も増える。品質監督所への広報対応も、しばらくは注意が必要だろう」大樹が忠告し、二人はさらにしばらく話し合った後、彼は帰っていった。

街の別の一角。

「天誠、最近あなた、空也さんや蕎子さんとよく会ってるわね?」ベッドの上で、木村飛雄は神宮寺天誠の腕の中で身を寄せながら、小さな声で言った。

「ビジネスの話をしているだけだよ。蕎子とは何もないさ!彼女は今、空也と熱い仲だから、変な想像はしないでくれ」天誠は彼女の滑らかな背中を優しく撫でながら、安心させた。

「天誠、彼らとの協力はやめられないの?空也と蕎子は悪巧みをしているわ。彼らが一緒にいて良いことなんてあるの?遥さんと若菜さんは簡単に手を出せる相手じゃないわ。それに、斎藤氏は今やアパレル業界での地位が揺るぎないだけでなく、バイオ医薬品分野でも頭角を現し始めているのよ!彼らが数十億円だけで斎藤氏を倒せると思ってるの?あまりにも甘いわ!」飛雄は小声で諭した。

「あなたにまた何かあったら、私どうすればいいの!あなたがまた刑務所に入ったら、私はどうすればいいの?」飛雄は彼の首に手を回し、甘えるように言った。