第336章 時間は留まらない(2)

「やだやだ、私のことを心配してないって言ったくせに、本当におせっかいを焼き始めたわね！」佐藤若菜は力強く自分の手を引き抜き、言葉には少し逃げ腰な様子が見られた。

斎藤遥は彼女をじっと見つめ、この女性が何かを隠していると確信を深めていった。

「前より食べる量がずっと減ったじゃないか！」彼は彼女をまっすぐ見つめ、眉間のしわは一向に緩む気配がなかった。

彼女が表層性胃炎だと言って以来、彼は彼女が密かに薬を飲んでいないか、食事の規則性などを常に注意深く観察していた——彼は彼女の病気が単なる表層性胃炎だけだとは信じていなかった。

しかし彼女は確かに薬を飲んでおらず、いつも通りのビタミン剤を摂取しているだけだった。

それでも彼女は日に日にやせていき、彼は何か変だと直感していた。

「そうよ、シンガポールの食べ物は本当に美味しくないわ。最初は好きじゃなくて、いつもお腹を空かせていたから、長い間胃が小さくなっちゃって、今は少し多く食べると胃が痛くなるの」若菜は下唇を軽く噛み、この話をするときは困ったような表情を浮かべた。

「これからは佐藤おばさんに毎日二回スープを届けてもらうよ。少しずつ何度も食べて、元に戻さないと。君がこんな状態だと見ていて辛いんだ」テーブル越しに、遥は彼女の顔を両手で包み、優しく言った。

「わかった！」若菜はこの時ばかりは素直に従った。

彼の心配そうな瞳を見て、彼女はさらに優しく言い添えた。「遥、私のこと心配しないで。今はとても健康だって約束するわ！これからどんなことがあっても、真っ先にあなたに話すって約束する」

「うん」遥は小さく返事をした。

「それにね、佐藤おばさんが言ってたけど、毎朝熱乾麺を一杯食べれば、半月もしないうちにきっと元の体重に戻るって。何を急いでるの！」若菜は皿の上のステーキを切りながら笑って言った。

「今じゃ熱乾麺でさえ三分の一しか食べられないじゃないか！」遥はため息をつきながら言った。

「もう、死にそう。そこまで細かいことを気にしなくてもいいじゃない！」若菜は顔を上げずに、ステーキを一口口に入れながら小声で呟いた。

アメリカ。